03


追加ルール。
……話の流れからすると、運ゲー要素を排除し勝者を減らすことが目的。と、なると……

サリバン先生は教室中を見渡して言った。

「当日に魔法の施されたブレスレットを皆にひとつずつ配る。こいつには、つけた本人にしか見えない数字が刻印されている。『逃げる側』参加者の中に同じ番号を持つ者が1人だけ居る。お前らの勝利条件は、この同じ番号を持つ『相方』2人ともが生存することだ」

……難易度が2乗に跳ね上がったんですけど。これは皆もさぞモチベーションが下がっていることだろう。
そう思って教室を見回してみるが意外や意外。皆の表情に絶望の色はさほどない。むしろ少々浮き足立っている気すらするほどだ。
理由が分からずに首をかしげていると、サリバン先生が話を続ける。

「お前らは積極的に『相方』探しに奔走して2人で協力して生き残ってもいい。その場合は派手に動き回ることになるので鬼に見つかる可能性は高くなるだろう。或いは、」

先生は息を吸って続ける。

「まだ見ぬ『相方』が生存していることに賭けて逃げ隠れしているだけでもいい。ただ、その確率は決して高くはないだろうな。何も手を打たなければ生存はできても勝利は難しいかもしれない。」

ここまで先生が説明をしたところで、1人の生徒の手が上がる。

「先生、質問なのですが、途中で誰かとブレスレットの交換はできるんですか?誰だって有利になる『相方』が欲しいですよね?」

サリバン先生は口元に手をやって質問を聞き、軽く頷いた。

「ああ、そのあたりも説明しようと思っていたところだ」

先生は適宜黒板を使いながらブレスレットの仕様について説明を始めた。曰く。




このブレスレットには先程述べた『相方』制度の他に様々な機能が付与されている。

第一に。
このゲームに対する『参加資格』。
ブレスレットを着けている者はゲームに参加していると扱われ、外した瞬間に失格となり刻印に「失格」の文字が浮かぶ。
すなわち、先程の質問の答えは不可能、である。交換するためには外さなければならないからだ。
鬼たちはこのブレスレットを没収することが目的となっている。逆に言えば、鬼に捕まってもこのブレスレットさえ取られないように死守すれば『生存』扱いとなる。

第二に。
『位置検出機能』。
このゲームの舞台は学園敷地内の森の中。
逃げ隠れするために森以外の建物に入るとその時点で『失格』の刻印が浮かぶ。
徹底的にズルを排除する仕組みのようだ。

第三に。
『警告機能』。
鬼が近付くとほのかに光る。
鬼には特別仕様のブレスレットと鬼であることを示す真っ赤なタスキが配布されており、これの接近を示す機能だ。
こちらは参加者を補助する親切な機能のようだ。


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