04


「――と、まあブレスレットについてはこんなところだな。他になにか質問は?」

サリバン先生が問うといくつか手が上がる。そのうち1人が立ち上がって訊ねた。

「持ち物に制限はありますか?」

先生はよどみなく返答する。
「ごく少数の例外を除いて自由だ。あまり大荷物だと逃走に差し障るから個人的にはおすすめしない。」

「例外とは?」
「戦闘訓練で使用するような仮想空間装置など、『鬼が見つけることが絶対に不可能になる』代物だな。人払いの魔術なんかは好きに使っていいが、仮想空間に逃げ込むのはナシ。これはブレスレットの『位置検出機能』の穴をついた戦略になるんでな」

生徒達は熱心にメモを取っていく。
やがて次の生徒が立ち上がる。

「もし魔物と遭遇しちゃったらどうすれば?」
「基本的には自分でどうにかしろ」
先生の答えはにべもない。先生は続ける。

「元々このゲームは訓練も兼ねているからな。森の深層部まで行かなければお前らの手に負えないような連中は出てこない。救援をすぐに送るのは物理的に不可能なので、深層部まで行って死ぬのは自己責任だ。自信の無いやつはあまり深入りしないことだ」

うん、森は広大なので全域にパトロールを置くのは不可能だな。俺が頷いていると次の生徒が立ち上がって問う。

「『相方』の事前探しは不可能として、事前に友達と作戦立てておくのは有り?」
「大いに有り。」
先生はにやっと不敵に笑って答える。

「荷物の件でも言ったが基本的に『なんでもあり』だ。お前らの持てる力で逃げ切ってみせな。ただし、舞台は仮想空間ではなく現実だ。殺せば当然相手は死ぬし、殺されれば死ぬ。そのあたり肝に銘じることだ。また、お前らが『なんでもあり』なのと同様に鬼側も得意分野をなんでも使ってお前らを追い詰めてくるだろう。心してかかれよ」

仮想空間でなく現実であるという事実はそれなりに重くのしかかる。下手な失敗はできないな。

最後の生徒が立ち上がって訊ねた。
「勝者に対する商品ってなんですか?」

この質問への答えに、教室内はにわかに騒然となる。

「この学園の理事長あるいは学科会長に、好きなものをひとつおねだりできる権利だ」

驚愕の声、歓喜の声、上がる士気。
それもそのはず。
学科会長は言うに及ばないほどの人気者だし、理事長は王族の側近をやっているほど格の高い人物らしい。彼に気に入られることは将来が約束されたも同然といえよう。

……それにしても。
物凄い盛り上がりようである。

勝者賞品にそこまで執着のない俺は思わず苦笑を漏らした。


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