君に恋することは必然だった
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  • 蛇骨の疑問


    「なぁなぁ!俺気になったんだけど、蛮骨と千代って一体どういう関係なんだ〜?」
    「は?」
    「みゃ?」




    蛇骨がともに旅をするようになってしばらく…急に聞かれた問いかけに蛮骨と千代は首を傾げた。




    「だってさ、年頃の男女が一緒に旅してるとか…やっぱり恋仲とか?けどその割には千代色気ねーしな〜…」
    「確かにな」
    「蛮骨ー!?」




    蛇骨の発言に蛮骨も同意し出したので、千代は声を荒げる。乙女に対して二人がかりで失礼な物言いである。




    「俺は全然女とか興味ねーけどさ、蛮骨の兄貴はどうなんだよ〜?」
    「まーお前と違って男には興味ねぇな。酒を酌されんなら女がいい」
    「えぇー、男の方が可愛いじゃん!こう、どんな血の色してんだろ〜ってワクワクしてくるっていうか」
    「ねぇな」




    二人で男女の話に花を咲かせ始め、千代はついていけず置いてけぼり状態だ。




    「…そのうち、私も母上みたいに色気とか出るんだからー!」




    そう吐き捨て、先に駆け出していく千代。「おい、勝手に行くな」という声も無視だ。




    「あーあ、蛮骨の兄貴ってば素直じゃねーんだから」
    「あぁ?何がだよ」
    「あれ?気づいてないのもしかして」
    「だから何がだよ」




    ほんとに何も気づいていない様子の蛮骨に、蛇骨はあちゃーと心の中でつぶやく。
    自分が現れ、千代の飯を褒めているとき、あれほど面白くなさそうにしていたのに…その自覚は全くなかったようだ。…まーどれだけ戦いに強くても、まだそのあたりは子供ということか。




    「べーつに。何でもないや」
    「?ほんと変な奴だな」
    「そんなことより、千代のことほっといていいの?」
    「…めんどくせー奴だな…ったく」




    そう呟いて、千代の後を追いかけていく蛮骨を眺めながら、これから面白くなりそうだと無邪気に楽しむ蛇骨なのだった。