ダイエット宣言!?

「相変わらず佐菜は弱くて話になんねェや」
「くっ…!そ、総悟が強すぎなの…!私は普通だし…!」
「あーあ、つまんねェや、もっと手応えねぇんですかねィ」
「うう…もう、やだぁ…!」
「テメーらァァ!!ここで何してやがる!?」




真選組の稽古場から毎度のことながら土方の怒鳴り声が響き渡る。




「何って、見てわかんねェですかィ?UNOでさァ」
「もうっなんで総悟ばっか勝つわけー?ずるいんだけど!!」
「何稽古場で悠長にUNOやってんだと言ってんだよ!」
「あ、副長もやります?やりだしたら結構ハマりますよ」
「誰がんなもんやるか!つーか、ここはんなことするための場所じゃねぇんだ!稽古する気がねぇなら巡察にでも行きやがれ!!」




ポイッと土方に稽古場から追い出されてしまった二人。勿論UNOも没収されてしまった。



「…あーあ、佐菜のせいで追い出されちまったじゃねぇかィ」
「ちょ、私だけのせいじゃないでしょ!総悟だってノリノリでUNOやってたじゃん!UNOってたじゃん!」
「UNOってたってなんでさァ」
「…あー、なんか頭使ったからお腹減っちゃった…コンビニでまた菓子パンでも買いに行って来ようかなー…」
「さっき昼飯食ったばっかじゃねぇかィ、どんだけ食う気でさァ。このままじゃただのメス豚に成り下がりやすぜィ。まーそうなったら、俺が躾けてあげますぜ」
「誰がメス豚よ!私別にMじゃないし!!」
「そういや、最近佐菜太ったんじゃねェですかィ」
「………え」




総悟の衝撃的な一言にコンビニへ向かおうとしていた佐菜の足が止まる。







「…嘘ォォォ!!え、本当に総悟ってばそう見える!?」
「そのくせ肝心のところは肉ねェんですねィ、色気の欠片もねェじゃねェかィ」
「ぎゃー!やめれー!!どこ触ってるーっ!!」



ぽん、と軽くだが顔色変えずに女の胸を触るのは止めてほしい。いくら幼馴染と言えど許されないことだろう。
そりゃ、人並み以上に食欲旺盛なのは今更否定しない。昔から何かしら片手に食べ物を持っては頬張っていた。皆が思わず引いてしまうほどの量を平らげるとしても佐菜は止めようと思わなかった。




「…そう言えば最近ちょっと顔が丸くなった、気がする…!」
「その丸みがもう少し下のところにくりゃよかったんですけどねィ」
「胸の話はもういいからっ!!」




どうしよう、このままじゃ総悟の言うとおりメス豚になってしまうではないか。…や、Mじゃないんだけどね。丸くなっちゃうって言う意味でね。




「…こうなったら、ダイエットするしかないっ!」
「何くだらねぇこと言ってんでさァ。んなの、佐菜に無理ですぜ」
「なっ…!なんでまだやってもいないのに無理とか言えるのよ!」
「そんなことぐれェわかるに決まってらァ」



ムキになる佐菜に得意気な笑みを向けながら総悟は何事でもない様子で言い放った。





「佐菜のことは俺が一番理解してるんでねィ」
「!」
「どんなことよりも食うことが好きな佐菜には無茶な話でさァ」
「…そんなこと、」
「それより、んなくだらねェことする暇あったらちょっくら俺に付き合いなせェ。そしたら褒美にチョコレートパフェでも奢ってやりまさァ」
「ほんとっ!?」





総悟の提案に目の色を変える佐菜。…ダイエット、なんて言葉はもう彼女の頭の中から抜け落ちてしまっていた。そんな彼女に、総悟は意地悪そうな笑みを浮かべた。




「ダイエット、とやらはもういいんですかィ?」
「…うっ…!…あ、明日から、やる…よ!だから今日はいいのー!」
「へぇ〜?」
「ほっ本当だって!嘘じゃないんだからね!!」
「はいはい」
「本当なんだからねー!!」




そんな言い合いをしつつも二人は仲良く屯所を後にしたのだった。
…結局佐菜のダイエットは半日ももちませんでした。



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