君を独占する
「琥珀、もう大丈夫なん?熱はないん?」
「もう大丈夫だよ、ギンちゃん」





ふわり、とギンに微笑みながら彼に抱きつく琥珀。自分の世話をしてくれたギンに対してお礼のつもりなんだろう。ギンも彼女を抱き返した。





「ほな、今日は隊舎一緒に行こか?」
「うんっ!……あ、やっぱりギンちゃん、先行ってくれる…?」
「?どないしたん、琥珀」
「三番隊に行く前にね、卯ノ花隊長と日番谷隊長にね、お礼しに行くの」
「琥珀はええ子やね」
「へへっ…じゃあさっきギンちゃんにしたみたいにぎゅーってしてくるね」
「…っ!?ちょい待ち」






行ってくる、と今すぐにでも各隊舎に向かおうとする琥珀を掴まえるギン。聞き捨てならない彼女の言葉に無意識に眉を寄せた。






「今何て言うたん?」
「?だからね、卯ノ花隊長と日番谷隊長にね、お礼にぎゅーって…」
「あかん」
「え…?」





先程までの優しい声色とは打って変わって、怒気が込められたギンの様子に琥珀は何が何なのかわからないとでも言うかのように首を傾げた。
一方ギンはギンで、自分以外の者にそのようなことをしてほしくない。自分にだけ甘えたりしてくれていればいいのだ。






「ええか、琥珀?そないこと、僕以外にしたらあかんのや」
「…?なんで?」
「僕が嫌やからや」
「…ギンちゃん、嫌なの?」
「嫌や。そんなん僕以外にせんといて」





今度はギンが琥珀を抱きしめる。琥珀は誰のものでもない、自分のものだ。自分以外の者が…彼女に触れることなど許さへん。






「…ギンちゃん…うん、わかったよ。ごめんね…」
「約束やで、琥珀。」
「うん」
「ほな、行こか?ついでやし、僕も一緒に行くわ」





よっと、小柄な琥珀を抱きかかえるとギン。そして、そんな彼にしがみつくようにくっつく琥珀。





「ギンちゃん、」
「何や、琥珀」
「へへっ…だーいすき」
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