大人になりたい少女
「いいなぁ〜…勇ちゃんは」
「え、えぇ?な、何が…?」




ギンと四番隊にお礼を言いに来た琥珀。ギンが卯ノ花隊長とお話をしている間、琥珀は四番隊副隊長の勇音と話をしていた。二人は女性死神協会やらで仲がいい。そのため、この流れは自然とも言える。

さて、勇音からすれば、琥珀が羨ましかった。自分とは打って変わって小柄で女の子らしい琥珀の体型。一方で、男並みの身長を持つ自分。そんなコンプレックスを抱える自分をいいな…などと言ってくれるのは琥珀くらいではないか、とさえ勇音は思えた。




「だってね、勇ちゃん大きいもん」
「それが嫌なんだよ…」
「なんで?琥珀はすっごく羨ましいよー」
「琥珀ちゃんは、大きくなりたいの?」
「うんっ!」
「どうして?小さい方が絶対可愛いのに……」





それは自分の価値観かもしれないが…やはり勇音にはわからない。…しかし、次の瞬間、琥珀の口から出た言葉に耳を疑うこととなる。







「だってね、もし勇ちゃんみたいに大きかったら…ギンちゃんに楽にちゅー出来るもん!」
「………え…」
「琥珀ね、小さいからいっつもギンちゃんに抱っこされないとちゅー出来ないの」
「…えぇぇ!?」






何故こんな幼い少女から、そんな言葉が出てくるのか。自分でさえもそのような場面に遭ったことなどないと言うのに…自分よりもかなり歳の離れた少女はさも当然かのごとくに話す。




「琥珀、ギンちゃんのことがだーいすきだから」
「…そ、そっか…」





何だか琥珀より自分の方が子供っぽく思えた勇音なのであった。
1/52
prev  next