僕だけの専売特許
「琥珀、結構髪伸びたわね〜」
「へへ…」





三番隊の隊舎にまた遊びに来ていた乱菊。ツインテールに括られた琥珀の髪に手を伸ばしている。




「それに、綺麗に結うようになっちゃって〜」
「ううん。琥珀、自分で結わないよ…?」
「え、じゃあ毎朝この髪型どうしてるのよ?」
「ギンちゃんがね、毎朝結ってくれるの」
「えぇ!?ギンが!?」





琥珀の口から衝撃的な発言が繰り出され、乱菊は思わず大声を上げてしまう。…正直想像がつかない。あのギンが琥珀の髪型を毎朝セットしてるなんて…





「琥珀は自分で結わないの?」
「んー、出来るけど…ギンちゃんが嫌って言うから」
「…ギン…あんたって奴は…」
「…ん?なんや、また乱菊仕事さぼって遊びに来てたん?」




そして、ちょうどタイミングよく、噂の張本人が隊首会から戻ってきた。…この男を目の前にしてますます信じられなくなった。






「…ねぇ、琥珀。一回髪を切ってみない?よかったら私が切ってあげてもいいわよ?」
「!?あかんあかん!!いきなり何言い出すねん!!」
「わっ…!」




乱菊の言葉にいち早く反応したのは琥珀ではなく、ギンで。乱菊の隣で大人しくお茶を飲んでいた琥珀を瞬時に自分のもとへと引き寄せた。





「琥珀の髪はこんくらいあった方がええねんって。勿論琥珀は短くても可愛えけど、せやけどあかん!切ってもたら琥珀の髪括る僕の専売特許がなくなってまうやんか!!」
「?」
「ギン…さすがにそれは気持ち悪いわよ。見てられないわ」
「何言うてんねん、大事なことやないの。なぁ?琥珀」
「うんっ」
「…はぁ、琥珀。ギンの言うことに素直に返事しなくていいわよ」





正直この二人にはお手上げ状態である。誰も二人の間には入れないだろう。見てられないとでも言うかのように、乱菊はお茶を飲み干すと自分の隊舎へと戻って行った。

二人きりになったギンと琥珀。ギンは彼女を抱き、自分の膝の上に乗せながら伸びた髪に触れる。





「ええか?琥珀」
「うん?」
「この髪に触れてええのは、僕だけやねんで?特に他の男なんかに触らせたりしたら僕何するかわからへんからな」
「うん、わかったよ。ギンちゃん」
「ほんまにええ子やな〜琥珀は」
「へへっ…ギンちゃん…」
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