▼ Un investigatore e uno scontro
俺が知らぬ間にあの少年探偵団の仲間入りをした日から、数日経った頃。
イタリアに居る部下から、とあるファミリーの連中が動き出したのだと報告が入った。
そのファミリーとは、日本にも着々と展開を広げていた中小マフィア…マリーナファミリー。
コイツらはボンゴレ傘下から逃れるためなのか基本的にあいつらは日本での活動を主にしているらしく、得られる情報量は極端に少ない。
とは言え、俺が情報収集に長けているからなのか、俺の部下も情報収集は上手くなかなかの情報が入ってきた。
なるほど、薬の売買…ね。
普通過ぎてすこし気が抜けるが、例の組織にも薬開発のための材料を渡しているらしい。
つまりは、毒薬の材料、ということだ。
「やーっと俺のお出ましかな。」
取引は2週間後。
ミステリートレインというよく解らない列車で取引があるらしく、そこにはマリーナファミリーのボスであるフィアンが訪れるとのこと。
これは確かな情報ではないが…まあ、フィアンがその列車に訪れる可能性は高いだろう。
俺も乗り込むために上手い具合にその列車チケットが入手出来たら良いんだけど、な。
パソコンを開いてオークション画面を開く。
そこには多数の乗車チケットが売られていたので、取り敢えずは一安心。
この際乗車ランクなんてどうでも良い。
どうせすぐ抜け出すのだから。
さて、このミステリートレインまではまだ充分時間はあるし、暇潰しにでも行くか。
もはや恒例となりかけている散歩に出るため財布と鍵と携帯を持ち、家を出た。
「…だからどうして、こうなる?」
俺の目の前には嬉しそうに歩いている少年探偵団の姿。
歩き出して数分のところで彼らに見つかり、なぜか一緒に行動をさせられていた。
「こいつらは俺にセンサーかGPSでも組み込んでいるのか」と疑いたくなるほどの遭遇率の高さに、思わず頭を抱えたくなる(頭が痛い)。
今日は日頃から親しいらしい、"博士"の元へと全員して行くようだった。
しかもそこの家には哀ちゃんが住んでいるようで、哀ちゃんを抜いた4人と一緒。
そもそも、どうして俺がこいつらの知り合いの家に行かなきゃいけないのかが気になる。
俺はその博士のことなんて知らないし、ましてや会ったのはこれでたったの3回目だ。
もう何度目か解らない溜息を溢すと、隣を歩いていたコナンくんから同情の視線を向けられてしまった。
そんな視線を寄越すくらいだから前ほど怪しまれていないのは解るのだが、同情するくらいならこの子たちの暴走を止めてほしかったよ。
「あ、昴さんだ!」
「おや、キミたちは…。」
博士の家に向かっている途中、色素の薄いピンクのような髪色をした青年と遭遇する。
おいおい、新キャラ登場し過ぎだろ。
この際面倒なので互いの自己紹介は省かせてもらうが、この青年は沖矢昴という名前で博士のお隣の家に居候させてもらっているらしい。
しかも沖矢昴との遭遇場所が、博士の家なんだとか。
一瞬沖矢昴から鋭い視線を向けられたような気がしたけれど…もうどうでも良い。
もともとそういう仕事だからそんな視線には慣れているし、最近は短スパンでそんな視線を受け過ぎたから、あまり気にならなくなってきた。
「如月さんは探偵なんですね。」
「…まあ、俺なんて別に、探偵って言えるほどじゃないんですけどネー。」
新キャラ博士とも自己紹介を済まし、ソファーに座って初対面である沖矢昴と一緒になって、なぜかふたりして紅茶を飲んでいる。
あれ、俺コーヒーって言ったんだけどな。
そこでも会話として触れられたのは、やはり俺の仕事のことについて、だった。
まあ話しやすいことではあるが、何度も言わせてもらうけど、俺は断じて探偵ではない。
自警団であるボンゴレファミリーの守護者だ。
なんてことを沖矢に言えるはずもなく、申し訳ないがその場は適当に流させてもらった。
ま、普通の人であったなら今は仕事をしている時間帯ではあるよな、うん。
この人大学生らしいけど大学行かなくて良いのかよ、というツッコミはこの際封印しておく。
「ほぉー…。コナンくんの周りには、頻繁に探偵の方が集まりますね。」
「へー…(極限にどうでも良いわ)。」
沖矢曰く、コナンくんの周りにはどうも探偵が多く存在しているらしい。
おいおい、そんなに探偵って多いのかよ。
俺の周りに探偵なんて居なかったんだけど。
どこぞのボクシングばかの口癖が移っていることにも気付かず、紅茶を飲みながらも楽しそうにはしゃいでいる探偵団に目を向ける。
哀ちゃんはやはりどこか警戒しているようだけど…これは俺に向けられてはいなさそうだ。
つまりあの視線は、この"沖矢昴"に対して向けられている警戒心、ということか。
なんだかこいつはこいつで裏がありそうで、なんとも言えない(裏がありそうな奴多いな)。
もう少しまともな奴が居ないものなのか…。
あ、俺が言えたことじゃねぇな。
…暇なときの散歩、控えようかな。
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