▼ Chi e Lei?

だから、どうして俺はこうなっている?



「おまえら、俺になんも付けてねぇよな。」

「?なんのこと言ってるの?」

「僕たちは悪戯なんてしませんよ。」

「なんてったって少年探偵団だからな!」



もう良いよそのくだり。

もはやみなさんお気付きだろうが、俺はまたしても少年探偵団に引っ張られている。
まあ、引っ張られているとは言っても今居るのはポアロという喫茶店だから、行動的なもので彼らに引っ張られているわけではない。

しかしまあ、なんと言うか。
このポアロとは溜まり場なのだろうかと疑いたくなるほど、彼らは訪れているらしい。
俺からしてみたらここは安室と遭遇しやすい場所でもあるし、もっと言えば彼らと居ればあの沖矢に会う可能性も上がるから嫌だ。

それに。
ミステリートレイン、明日なんだよ!
(武器の)準備もしてねぇし、作戦やらなんやらも、俺はまだやってないの!
つまり俺はさっさと帰りたい!

なんて、こんな子どもたちには通じないか。
下手なこと言って、ボンゴレと接点がある、と他のファミリーから狙われても困るし。
関わりたくない理由には、一応はそれも含まれてんだけどなぁ…子どもって本当無邪気。



「そう言えば僕たち、明日あのミステリートレインに乗車するんです!」

「え、そうなの?(マジか。)」

「おう!園子姉ちゃんがチケット取ってくれたから、俺たち全員乗れるんだぜ!」

「へー。ま、楽しんでこいよ(ふざけんな)。」



おいおい、マジかよ…。

今日はあの安室が居ないなー、なんて思っていた矢先、大きな爆弾が放り込まれた。
ミステリートレインは人気があるので、俺もそれなりの金額でチケットを買ったと言うのに。
そんなものに子どもたちが乗るだなんて、さすがの俺も予想もしていなかったわ…。

ったく、ふざけんなよ…マリーナと言えば荒い殺しで有名なファミリーなのに。
奴らの殺害方法は、匣以外だとだいたいが爆死…そう、事故に見せ掛けての爆死が主流だ。
そんな危険なファミリーが潜む列車に、顔見知りとなった子どもたちが乗るだなんて想像出来るはずもない。

パイナップル(骸)に頼むのは癪だし、自身の幻術で変装して乗り込んでからゆっくり探ろうと思ったが…。
これは最初から俺の姿で行って、奴らにボンゴレ闇の守護者…"紅蓮の死神"の存在を、知らしめる必要があるのかもしれない。
そうすれば、上手くいけばミステリートレインでの取引は手を引くかもしれないからな。



「俺も行ってみようかな。」

「本当ですか!?なら園子お姉さんに雄魔さんの分のチケットも頼んで…。」

「あー、良いよ良いよ。俺、元から知り合いに誘われてたんだよね。だからみんなが行くっつーなら俺も行ってみようかなーって思ってさ。」



この段階では判断し辛いが、もし万が一無変装で浸入する際にこの子どもたち…いや、あの江戸川コナンくんに見付かるとあとが面倒だ。
さっきから視線がバシバシ飛んで来るし、コナンくんはいつまで俺を疑うんだか。
一瞬は警戒もなくなったと思ったんだけど。

まあ、なんにせよ明日はひとつ目の大きな仕事だ。
失敗はないだろうが、綱吉のお説教から逃れるためとこの子たちの安全を守るために、俺は珍しくいつもよりすこしがんばるとしよう。



「ねぇねぇ、如月の兄ちゃん。」

「ん?なんだよ、コナンくん。」



控えめの声でコナンくんに呼ばれて、近付いてきたコナンくんにコソッと耳打ちされる。
その言葉はあまりにも面白いものだったのでつい噴き出してしまったが、コナンくんが一瞬にして不機嫌そうな表情を浮かべたので慌てて笑うのを止めた。

へぇ、このボウヤ…。
なかなか面白いことをやろうとしてんじゃねぇの?


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