▼ La famiglia piu importante.
『取り逃がした!?』
「うるさっ。」
男が去っていったのを見たあと、俺は赤井秀一を無視してまっすぐ帰宅し、綱吉に報告の電話をしていた。
そしてその男を取り逃がしたと言えば、綱吉は普段の数倍の声のデカさで叫ぶ。
おまえ、今ならスクアーロと声の大きさ張り合えんぞ。
電話を耳元から一旦離し、もう一度耳元にあてる。
綱吉からしてみたら俺が標的を逃したことが信じられないようで、ぶつぶつと電話越して呟いていた。
たまには俺だって失敗するわ。
復讐者に捕まるだなんて、ごめんだし。
「あ、あとさー、骸に赤井秀一のこと調べるように言ってくんね?」
『?どうしてですか?』
「いや、俺がFBIを調べたときには殉職になってたんだけど、今日スパツィオと対立したときにいたんだよなー。」
『…雄魔さん、疲れで幻覚まで見るようになったんですね…。』
「殺すぞ。」
まったく、ちゃんと説明したのに。
綱吉は俺の疲れを気遣う雰囲気で言葉を選んでいたけど、俺はそんな幻覚を見る趣味なんてサラサラない。
もし幻術だったとしても、そうしたら術者がいるわけで、あの男が俺の存在に気付いていないわけがないのだ。
だからあれは、人間か幽霊。
けれどあの男が言っていた感じでは、赤井秀一は死を偽装している可能性の方が高いと言える。
ま、FBIのことを調べたところで俺にはなんのメリットもないんだけどな。
別に、赤井秀一の霊でなかったと立証するために調べさせているわけではない、断じて、絶対に。
『もしものときは言ってください。日本には雲雀さんも居ますし、いざとなれば俺もみんなも、そちらへ向かいます。』
「いーよ別に。俺ひとりでもなんとかなるだろうし。」
『雄魔さんは信用出来ませんから。』
「なんでだよ!!」
それから、綱吉とは他ふたつのファミリーのことも話し、この中ではスパツィオがどこよりも危険だと踏んでスパツィオのときだけはボンゴレ全体の力を借りる可能性もあるのだと言われた。
別に援護など要らないのだが、前に大怪我をしてアジトに戻ったことを話しに出されてしまったら何も言えない。
くそ、なんであのとき無傷じゃなかったんだよ、俺…!
援護要員がヴァリアーや雲雀や骸じゃありませんように、と祈りながらも綱吉との電話を終えた。
…あれ、もしかしてこれ、最悪なフラグだったりする?
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