Twitter Log(シンクの仮面は化け物の仮面)


シンクは化け物になりたかった。
比類なき力を持ち、畏怖の対象とされ、両手の指でも足りぬほどの被害をもたらし、いずれ人間に討伐され朽ち果てる化け物に。

名前を言えばすぐ様その姿を思い浮かべるような。他に代わりなど居ない唯一無二の。誰もが知り誰もが恐れる。ただ本能に従い感情のままに害悪を撒き散らす。誰にも憚る必要もなく。己にのみ従う、どこか誇り高さすら感じさせる。そんな化け物になりたかった。

だからシンクは力を求めた。強さを求めた。孤高を目指した。馴れ合いを拒んだ。人を傷つけた。命を奪った。それを嘲笑った。
けれどシンクは個としては不完全だった。仮面を外せば人々はそれをシンクとは呼ばないだろう。だからシンクは顔を隠し。本音を隠し。本心を隠し。人を憚り孤高ではなく孤独を選ぶ。

シンクは化け物になりたかった。
誰もが恐れる化け物になりたかった。
唯一無二の化け物になりたかった。

誰が見ても自分だと分かってくれる。
代わりなど居なくて、偽る必要もなくて、そしていつか孤高の最期を飾る。
誰もが恐れる(認める)、化け物になりたかったのだ。
それは所詮夢だって分かってる。子供の描く下手くそな落書きと変わりはしない。
それでもシンクは化け物になりたかった。

だから今日も、シンクは化け物の仮面をかぶる。


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