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微エロですので、自己責任でどうぞ。


人それぞれ、好みは違うし性格も個性も違う。だからこそ面白いし喧嘩も起きるし、仲良くもなる。そう思ってるから好き好きをとやかく言うことは無いけど、これはどうかと思うよ轟くん。

「どこで買ってくるの、こんなの…!」
「通販」

私の悲痛な叫びをサラリと受け流す彼は、普段のクールな印象とは180度違って変態も変態だ。なんだこの、レースしかない下着は。手の中で少しだけ皺のついたそれは触っただけでも見てもわかる通り、薄い素材で出来ていた。反対側もばっちり見えちゃうような。こんなの身に着けたらどうなるか。想像に容易い。


「着けてくれねぇのか?」
「……彼女の私としては、彼氏の誕生日はもっと可愛いお願いされたかった」
「例えば?」
「手作りのお弁当持ってピクニックとか?」
「メルヘンだな」
「乙女はみんなメルヘンだもん」


だから、こんな黒の総レースの下着は着けられない。そう伝えるもあれよあれよというまに彼のペースに乗せられてしまう。口下手なくせに、こういうのの誘導はうまくて。着替えてるところは見ないという条件で、結局私が今回限りと折れてしまった。
じゃあ着替えるからあっち向いててと不機嫌そうに言っても、「あぁ」と素直に言うことを聞く。こんなところで正直なものだから拍子抜けしてしまうのだ。

さて、見れば見るほど卑猥な下着である。面積は普段の下着類と変わらないけれど、何も隠してくれないこの頼り無さ。言っておくが、轟焦凍の誕生日は1月だ。こんな寒い日にこんな薄いもの着けろとか、鬼か。ヴィランか。レースじゃない部分はブラの肩紐くらいなもので、あとは全て可愛らしい花の刺繍たちだ。なんてことだ。No.2ヒーロー、エンデヴァーさん。君の息子は大変に変態に育ってます。
ため息を漏らしたところで、反応するように轟くんが後ろ向きで声をかけてきた。

「まだか?」
「躊躇してるとこ」
「急かしはしねぇけど、風邪引くなよ」
「それこそ、これ着たら風邪引くよ」
「はははは」
「笑い事じゃない……あー、もう!着てやるよ!可愛い彼氏のために!」


意を決して、今着ている下着とおさらばする。そして何とも頼り無い、布と言ってもいいのか分からない物体をしゅるりと音を立てながら身に着けた。






「一応、着けました」


恨めしく声を出しながら轟くんに報告する。彼は思いの外ゆっくりと振り返り、私を見つめた。

「布団被ってんじゃねぇか」
「あのね、想像以上に無理だった」
「名前」
「だって」
「見たい」
「……っ、」


辛うじて肩の部分とかは出していたのだけれど、誤魔化しはやっぱり通用しない様だ。それに、こんな熱の籠もった眼で見られたら、先を想像しちゃって、もう拒めなかった。

そろり、と被っていた毛布を床に落とす。少しだけ温かったそれは軽い落下音とともに離れていった。
視線がいたい。泣きたい。なんでこんな、裸よりも恥ずかしい格好。
うっすらと涙が張る目には、ぼやけた轟くんが口を押さいているのが映った。


「あー、やばいな」
「も、いい?」
「待った、まだ。見てェ」

そう言うと彼は遠慮無しに指を伸ばしてくる。それは私の胸の前で止まった。その先にはほかの白い肌とは違う、色の染まった突起。

「透けてるから、丸見えだな」
「……へんたい」
「少しココ、たってる。寒いか?」
「っ、ん」
「やわらか……」
「…あ、んぅ……」

はぁ、と熱い息が口から漏れる。くにくにと弄られた乳首は段々と硬さを増していった。薄い布越しに与えられる刺激に体はぴくりぴくりと正直に反応してしまった。乳房を柔らかく揉んだかと思えばイタズラをするように突起に指を掠めたり、弾いてくる。羞恥とほんの少しの期待とに挟まれた私はされるがままだ。また卑猥な声は漏れるし、体は勝手に揺れてしまう。そして胸元にゆっくり落ちてくる唇からくる快楽に声が漏れないよう口を噤むだけで精一杯だ。湿った生暖かい刺激は私の頭を更に真っ白にさせた。


「ゃあ、……ん、ふぅっ……ん、ん、ぁあ」
「ん、……名前」


やっぱり、この眼と声がいけない。そんな顔で名前を呼ばれるだけで、何でも赦してしまう。


次は何をされるのか。腹を撫でる手が時間をかけて下のレースへと伸びていくのを感じながら、これからくる新しい、けど待ち望んだ刺激を想像して身を震わせた。



           


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