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それから約六ヶ月の間様々な病院を巡ったが、珀鉛病に関してまともな知識を持った医者はいなかった。
どこの病院からもローは「ホワイトモンスター」と呼ばれたり、それを連れてきた私たちは「なんてものを連れてきたんだ!」と言われる。もちろんそんな医者は殺したが…。

上陸した島でコラさんは今まで渡ってきた病院の地図を海に捨てる。

「……何をやってんだ俺は…。悲劇の町に生まれたガキに…」

ぼそぼそと呟くコラさんの話に耳を傾ける。

「なぁ…シャル、俺のやっていることは…いや、そんなことお前に言っても仕方ないよな」

私は静かにコラさんとローの元を離れる。
ローの病気の進行は確実に進んできている。
その証拠に白い部分が多くなり、ローの体調がよろしくない日が多くなってきた。
私は友人として、ローを楽に逝かせる方がいいのか、それとも最後まで希望を捨てずにこのまま旅を続けるのか…。
果たしてどれがいいのだろうか…どう思う?ジンさん。
そう思いながら月を見上げる。
あぁ、そうですよね、貴方なら「そんなの決まってるだろ!あきらめるな!」とでも言いますよね。
苦笑してから私はコラさん達のいる場所に戻ろうと踵を返した時だった。
一羽の鳥がこちらを見ており、その足には手紙が付いていた。
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次の日、ローがコラさんのことを「コラソン」ではなく「コラさん」と呼ぶようになっていた。(ちなみに私は旅にでて一か月ぐらいでコラさん呼びにしていた)
コラさんは信じられないというような顔をしている。
そんな二人の間では先程から電伝虫が鳴いている…。
電話をしてきた人物はドンキホーテ・ドフラミンゴ。コラさんの実兄にしてローの船長だ。
そう言えば父さんは彼を危険視していたな…。

「喜べロー!」

電話が切れた瞬間コラさんは嬉しそうにローを抱き上げる。
"オペオペの実"…人体改造能力を持ち、医療の知識を持つもの喰らえば、未知の病気も治すことのできる実。
そして能力者の命と引き換えに"永遠の命"を得ることができる。
ドフラミンゴはコラさんに食べさせその命と引き換えに永遠を得ることが目的なのだろう…。永遠などあるはずもないのに…。
それにドフラミンゴの目的がオペオペとなると戦闘は避けられないだろう…。

「シャル!」
「ロー、良かったな…これで私も自分の任務に戻ることができる」
「「え…」」
「父から、オペオペの実を奪えと任務通達が来てるの」
「…まさかシャル」

おそらくコラさんの脳内には最悪のことが流れているだろう。
だけど父からの任務はそれだけじゃない。

「コラさん、私がオペオペの実を奪うよ…私なら被害を最小限に抑えて奪うことができる」
「な、何言ってる!そんなこと…っ!」
「奪ってトラファルガー医師の息子にオペオペの実を食べさせる…これが父からの任務」
「「!!」」

そう言えば二人は驚愕する。

「父さんはオペオペの実の存在を知った時からずっと探していた。
一度は手に入り、トラファルガー医師に食べさせようとしていたの…珀鉛病の患者を救うために」
「まさか、あの時の手紙は…」

ローの言葉に頷く。
だがそのオペオペの実を運送中、何者かに襲撃にあいオペオペの実は隠されてしまった。
ようやくその情報が父に入り、私に昨夜任務として通達が来たというわけだった。

「本当はこっそり取りに行こうと思っていたけど…」

そう言ってどこかに電話をしているコラさんを見る。
懐かしい祖父の声が聞こえる。

「ドフラミンゴも狙っているなら行動は早めの方がいいね」

私はそう言って身体を風に乗せる。

「取引場所は三週間後の北の海…"ルーベック"」
「シャル!!」
「コラさんローが危ない…私は一足先に行く」
「!!ローっ!!」

思ったよりも進行が早い…。
私はローをコラさんに任せて北の海を飛ぶ。