2/姉とは?

フィニがシエルに尋ねる。


「マリアさんはどんな方なんですか?」

「年齢は僕より2つ上の15歳。
ミロワール学園の出身で飛び級して卒業。今はクラージュ医科大学に通ってるよ」


シエルが答える。


「ミ、ミロワール学園って超名門のお嬢様学校って聞いたですだよ」

メイリンは驚く。


「それにしてもマダムレッドにそっくりだったな」

バルドは言う。



「あぁ。姉さんはマダムレッドに憧れてるからな……あとは…ミロワール学園時代は校則違反したり、ペナルティのマリアとして有名だったみたいだ。それと留学経験も豊富で何カ国語も話せるし、フェンシング、フィギュアスケート、バレエ、ピアノ、ヴァイオリン、絵画でも常にトップクラスで“コンクール荒らし”なんて呼ばれてたな」




「ペナルティのマリアは余計よ」


ひょっこりマリアが表れる。




「姉さん…いつの間に」

「さっきから居たわよ。あと、留学ってのは名ばかりで遊びに行ってる感じよ」



「凄いな!流石は俺の妹!」
ソーマが手を叩く。





「そういえば、大学の方から荷物が届いたぞ」




玄関ホールには大量の箱や埃を被ったピアノが置いてあった。

「全部私の部屋に運んでくれる?」

「俺も手伝うぞ!」

「お止め下さい、ソーマ様」

慌てるアグニ。


「これもいい男になる為の勉強だ」

ソーマは張り切って荷物を持つ。




「このピアノも運ぶんですよね」


フィニは一人でピアノを軽々とマリアの部屋へ運ぶ。



シエルを除く男性陣達は手際よく荷物をマリアの部屋に運び、あっという間に全ては片付いた。




「姉さん、トロフィーはリビングに飾ろう」



シエルの提案により、マリアが残した数々の功績のトロフィーはリビングに全て飾られた。

豪華なディナーを食べた後、シエルの部屋にマリアがやってきた。




「シーエール」


「何で突然帰って来たんだ?姉さん。大学で何かあったのか?」


「何もないわよ。大学の寮も飽きたから戻って来ただけよ」


「そうか」


「…シエルもじいやも元気そうでよかった」


「…姉さんも元気そうでよかったよ」




メイクを落としたマリアの素顔は父親にも、母親にも似ていた。
昔より似ている。


父親と同じ泣きボクロ。
母親と同じ瞳。
「ねぇシエル」


「何だ」


「シエルの執事のセバスチャンって何処の方?」



シエルは動揺する。




そう、マリアは賢いだけではなく勘がいいのだ。








「あの方、俗に言うイケメンに当てはまるけど、立ち居振る舞いとか完璧すぎてなんだか人間っぽくないような…あと、あの笑顔には裏の顔なんかあったりして」






冗談っぽく、笑いながらマリアは言った。