4/お嬢様と使用人

アフタヌーンティーの時間、中庭でシエルと紅茶を飲み、マカロンを食べているマリア。





ガチャン!食器が割れる音



バーン!爆発する音




「セバスチャンさ〜ん」と泣き声がしてきた。







「シエル」


「どうした?姉さん」


「いつもこんな感じみたいだけど…」


「ああ」




セバスチャンがげっそりした顔で各場所へ向かう。






「…賑やかで、退屈しないわね」




そういってマカロンを食べるマリア。

夜。

「ごちそうさま」


ディナーを終えて、椅子から立ち上がり、マリアは使用人達の方へ向かう。


「メイリン、あとで私の部屋に来てちょうだい」

「はいですだ!」





去っていくマリア。



「…?!メイリン、お前何でマリア様に呼ばれたんだ?!何かしたのか?」


バルドが言う。



「ワ、ワタシ何もしてないですだ!」








メイリンはクビになるのかと不安になった。
夜になる。


マリアの部屋のドアをノックし、恐る恐る足を踏み入れるメイリン。


「いらっしゃい」




そこには、昼間とは違う、可愛らしいナイトウェアを着て、たれ目気味の素顔のマリアが居た。




部屋にはオシャレなランプ、可愛らしいぬいぐるみや人形や小物、たくさんの本。





「マリア様は坊ちゃんにそっくりですだ」


「まぁ姉弟だからね。そこに座って」




椅子に座るメイリン。




テーブルにはクッキーと紅茶。




「よかったら食べて」


「はいですだ」




クッキーを食べるメイリン。


「美味しいですだ!」


「…よかったわ!私が作ったのよ」


「マリア様が?凄いですだ」


「凄くないわよ。だったら今度教えるわ」
「いいですだ?…セバスチャンさんを驚かせるですだ!」


顔を赤らめるメイリン。

「ねぇ、メイリンってセバスチャンの事好きなの?」


「はいですだ…」


「どこがいいの?なんか裏表ありそうだし」


クッキーを食べるマリア。


「かっこいいし、優しいですだよ!…それより話って何ですだ?」


「ああ、話ね。メイリンと仲良くしたいと思ってじっくり話してみたかったのよ」


「?ワタシと?」


「そうよ。それに様付けはしなくていい。マリアでいいわ」


「それはできないですだよ」


「…だって堅苦しいじゃない。じゃあせめて“マリアさん”とか」


「…いいですだ?」


「いいわよ」

「…マリアさん」

「うん!そう呼んで!」


笑うマリアとメイリン。




「それよりメイリン、あなた眼鏡しない方が美人よ」




マリアはメイリンの眼鏡をスッと外した。




「マリアさん、ワタシ眼鏡ないとよく見えないですだ!それに…」


「それに?」


「坊ちゃんからいただいた大事なものですだ!」

「シエルに…」




マリアはメイリンに眼鏡を返す。





「ごめんなさいね。眼鏡、大事にしてね」


「大丈夫ですだ!」


「あら、もうこんな時間。遅くまでごめんなさいね」


「平気ですだよ、ワタシ、マリアさんと仲良くなれて嬉しいですだ!」


「私もよ。ありがとう。これからよろしくね」




握手をするマリアとメイリン。




「おやすみなさいですだ」


「おやすみなさい」






マリアの部屋を後にするメイリン。





「マリアさんと仲良くなれてよかったですだ」




楽しそうなメイリン。




部屋で楽しそうに笑うマリア。