ミッドフォード邸で素振りをしていると、誰かが居た気がした。
「誰だ?」
そこには誰も居なかった。
「エドワード、今度のクリケットの大会私も見に行っていい?」
「是非来てくれ」
幼なじみのマリアから連絡があった。
クリケットの大会の日、俺はキョロキョロと会場を見渡した。
お前が居た。
にっこりと笑って俺を見ていた。
俺はマリアが来てくれたんだと、ほっとした。
試合には負けたけど、マリアが来てくれた嬉しさが大きかった。
試合後のパーティーでマリアと踊りたかったのにあいつは居なかった。
あいつはいつもそうだ。
おとなしくて控えめ。
そんなお前が俺は好きだ。
「リジーにプレゼントを選びたいから一緒に来てくれないか?」
「いいわよ」
リジーにプレゼントを選ぶなんて口実で俺はお前と一緒にいたいだけだ。
結局プレゼントは選べずに、帰り際の馬車の中。
「残念だったわね、リジーにプレゼントを選べなくて」
「あぁ」
なんだかお前の顔を見てるうちに、家に返したくなくなった。
そろそろ、見合いの話も来る年頃だな、と考えているうちに俺はいつの間にかマリアを抱き締めていた。
「いきなり何、エドワード」
顔を真っ赤にするマリア
「マリア…ずっと俺はお前の事を見ていた…好きだ!お前が嫌でなければ、ずっと…ずっと俺の隣に居てくれ」
マリア、俺がクリケットの素振りをしているのをいつも陰から見てくれてるのを俺は知っている。
いつも見ていたのは、お前だけじゃない。
俺もいつもお前を見ていた。
俺が困った時
「エドワード、貴方の力になりたいから困った時は私を頼って」と優しく手を握ってくれた事、
マリアの優しさに俺はいつもどれだけ助けられて居たか…
できれば、ずっとマリアの隣に居させてくれ。