6/執事の正体

ある日の朝。



鏡を見つめるマリア。



「髪が伸びたわね…」



マリアの真っ赤な髪の根元は亜麻色が覗いていた。





電話の受話器を取るマリア。





「シエル、今日は美容室に寄るから帰りが遅くなるわ」


「わかった、姉さん」








朝食をとり終わると迎えに来ていた馬車に乗って大学へ向かうマリア。


大学が終わり、ロンドンの街を歩くマリア。



「たまには歩きましょう」








街並みを眺めながらゆっくり歩き、美容院へ向かうマリア。





「そうだわ。近道しましょう」







人気の少ない裏通りへ向かうマリア。













夜。




「…遅いな」



時計を見るシエル。



時計の針は7時を指していた。





…姉さんの身に何かあったんじゃないか?






「…セバスチャン、行くぞ」


「御意」





セバスチャンとシエルは屋敷を出た。






マリアを探しに…



古びた建物の中。


手足を縛られたマリアが居た。


「ちょっと何なのよ!」


バタバタ暴れるマリア。



「うるせぇ女だな!黙らせろ」


「この女は高く売れそうだから傷物にするなよ」



ガラの悪い二人の男がマリアの前に居た。





「今すぐ解きなさいよ!」



チャッ



マリアのこめかみに銃がつきつけられる。




「黙れ」


「こんなもので私がビビると思ってるの?撃てるものなら撃ってみなさい!」


「さっきからうるさいお嬢ちゃんよぉ…俺達を甘く見るのもやめて欲しいなぁ」



ガラの悪い二人の男は狂った笑みを見せる。




「もうすぐ仲間が迎えに来る。それまでの辛抱だ」





ガチャ



扉の開く音がする。




「来たぜ…?!」






そこにはセバスチャンとシエルが居た。





「何なんだこいつら」


「当家のお嬢様をお迎えに参りました。」

「何なんだこの男、やっちまえ」



ガラの悪い男達がセバスチャンに向かい銃の引き金を引く。




バン!




発砲音はしたが、セバスチャンは何ともない。






「何なんだこいつ?!」


「坊ちゃん、どうなさいますか?」


「後で面倒だからやれ!セバスチャン」


「御意」






セバスチャンは体内から銃弾を取り出す。



「前にもこんな事ありましたねぇ…」




銃弾をガラの悪い男達に投げつける。
建物内に男達の悲鳴が響く。

「姉さん、怪我は?」


「大丈夫よ…それより今のは何なの?セバスチャンは何で…」


「話はあとだ姉さん」


驚くマリア。縄をほどいてやるシエル。








倒れている男達。











「お見苦しい場面をお見せして申し訳ありません、マリア様」





セバスチャンはマリアに頭を下げた。


夜。



シエルに『大事な話がある』と、言われシエルの部屋へ向かうマリア。







ガチャ





扉を開けるとベッドにシエルが座り、セバスチャンは立っていた。







「説明して。セバスチャンは一体何者なの?」


「姉さん…」





シエルは眼帯を外す。




「セバスチャン、お前もだ」


「御意」




そういうと、セバスチャンも手袋を外す。





「何その印…」




「…これは…契約の印だ。セバスチャンは悪魔。僕は悪魔と契約している」






3年前、何があったのか

悪魔との契約


契約終了後、シエルの魂はセバスチャンに喰われる事





すべてマリアにシエルは話した。









「嘘よ!嘘よ!もう言わないで!」





泣き叫ぶマリア。





ふっと意識が遠のいた。

「宜しかったのですか?坊ちゃん」


「姉さんは賢いし勘が鋭いからいずれ気付かれるから話しておいて構わない」


「そうですか」




バスルームでシエルの体を洗うセバスチャン。








自室にて目を覚ますマリア。












カツカツカツカツ…




ハイヒールの音がバスルームに向かう。








「姉さん!」


バスルームに入って来るマリア。


顔を赤らめるシエル。




「これからはシエルの世話は私がする。私は寮に居たから一通りの事はできるわ」




セバスチャンから桶を奪う。




「いけません、マリア様にそのような事は…」






バシャッ!






セバスチャンの頭からお湯をかけるマリア。





「私の弟に、触らないで!この悪魔!」




声を荒らげるマリア。





「申し訳ございません」



セバスチャンはバスルームを後にする。














クソガキの姉もクソガキですね。




セバスチャンは心の中で呟いた。