Diable of Nightmare

暗闇



赤い月



赤に染まった屋敷



赤に染まった家族



部屋の隅で怯えて崩れて座り込む私




近づいて来る真っ黒なもの

人の姿に似ているけど、人ではない

私の頬に触れる

氷の様に冷たい手

顔はよく見えない

でも

牙を見せて笑って居るのは分かる

気持ちが悪い


怖い


怖い





助けて…助けて!







真夜中に目が覚める。


冷や汗と鳥肌が立って気分が悪い。
恐怖のあまり涙が止まらない。
体が震える。
夢の中の出来事が現実のように、氷のように冷たい手の感覚が残っているの。




毎日毎日見る悪夢。
いつも同じ内容の悪夢。





「セバスチャン!」



私は怖くてセバスチャンの部屋に行くの。



「また怖い夢を見たのですか?マリア様」


「うん…」




止まらない涙をシルクの手袋が優しく拭ってくれる。



「お部屋に戻りましょう」


私はセバスチャンにぴったりくっついて自分の部屋に戻る。



「今日も一緒に居てくれる?」


「勿論ですよ」



私はベッドに横になる。セバスチャンは布団を掛けてくれて優しく私の髪を撫でてくれるの。



「…怖いから…蝋燭は消さないで」


「かしこまりました」


「朝まで側にいて」


「かしこまりました」





優しいセバスチャンが側に居てくれると、悪夢なんか見ないでぐっすり眠れるの。

「おやすみなさいませ、マリア様」


スー…

寝息をたてるマリア様。





私はマリア様が眠りについた事を確認すると、ベッドに腰掛けて、マリア様の額に口付けを落とす。










マリア様、悪夢の正体は私です。
私が力を使って悪夢を見せて居るのです。










悪夢に蝕まれ


悪夢に堕ち


マリア様はもっと





私を求めればいいのです。