verbotene liebe

「鐘が鳴ったら私を殺して下さい」


「できません」




森の奥にある教会に燕尾服を着た男と白いドレスを着た女が居た。
女は、男にナイフを差し出す。




「…もうすぐ追っ手がやって来ます。そうすると私は天使界に連れ戻され…拷問を受け続け………私は…おそらく命を落とすでしょう……もう貴方には二度とお逢いできない。私にとって、貴方にお逢いできない事、それが一番苦痛で残酷です。私にとって、何よりも一番の拷問になります…ですから、そうなる前に貴方の手で…」

涙ながらに女は男に訴えた。







不浄を嫌い、純潔を護らねばならぬ聖天使。


しかし、その天使は悪魔と恋に落ち、結ばれてしまった。


天使は悪魔と結ばれ純潔を失った時、白い羽は全て抜け落ちてしまった。




禁忌を犯してしまった天使、絶対に許されない。




「分かりました」



男はナイフを受け取った。




カランカランカランカラン…
教会の鐘が鳴り響く。






倒れ込む女。

女のドレス、美しい金色の長い髪、辺り一面はすぐに赤く染まった。



溢れ出て止まらない赤い血。




薄れゆく意識の中で女は言った。


「セバスチャン…貴方にお逢い出来て私は…し…あ…わ…せ…でした…貴方の黒い髪も…紅茶のような色の瞳も…愛を囁くその低いこ…え…」






最後まで言葉を発する事はできずに、天使の命も鐘の音も終わりを告げた。





男は血で染まった床に膝を付き、女にキスをした。






「マリア、私も貴女に出逢い、貴女を愛する事ができてとても幸せでした…これからもずっとマリアを愛し続けます」

















そう女の耳元で囁いた。










悪魔と天使、禁断の愛