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キュッキュッ と体育館特有の音が鳴り響く。

結局わたしは上にあがって音駒と梟谷の練習試合を見ていた。

はじめはぼんやりみていたが、女子とは違う男子特有のガガンッとすごい音のするブロックや、ズドッと決まるスパイクが繰り広げられるその迫力に次第に引き込まれた。

赤葦のいる梟谷は全国出場経験のある強豪校だ。木兎さんと呼ばれる人と赤葦のコンビネーションは見ていてとても華やかだった。

赤葦はわたしと違って、あの中で成長しているんだと少し寂しくなった。わたしはなにをしているんだろう。

バレーがしたい。
わたしも、あのトスを打ちたい。

ずっと目を背けていたその感情が溢れ出る。

「…赤葦のばか。」
気づいちゃったじゃん、なんてぼそっと言うと聞こえてないはずなのに赤葦がこっちをみて笑った気がした。

中学の時からそうだ。
わたしのことをよく見てくれている彼は、わたしにとって特別な相手になるのは必然だった。

バレーを諦めるなかで赤葦に対する想いも小さくなっていったはずだったのに。


赤葦にはかなわないなぁ。


思い出した


「ヘイヘーイ赤葦!今日絶好調だな!!」
「まあイイとこみせたいんで」
「そっか!……って、え!?」

(あの赤葦が!)
(女子に!)
(イイとこみせたいだって…!?)



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