最終日のバーベキューもしっかり堪能し、夏合宿は全日程を終え、久しぶりにクロと研磨と一緒に帰路につく。
「研磨、あんまゲーム集中しすぎんな。」
「ん、もうおわる……」
そんないつもの光景にほっとする。
しばらく歩いていると、クロはそういえばと話を切り出す。
「お前ら文化祭なにすんの?」
「えーと、カフェだよ。」
「カフェ?なんの?」
「なんかミュージックカフェ的な?」
「あーだからか。」
合点がいったとひとりで納得し始めるからわたしと研磨は首をかしげる。
「……なに?」
「いや、最近なまえんちからギターとかピアノの音がするから。高校入ってからあんま弾いてなかったダロ。」
「あぁ、なまえは楽器担当だから」
「あんまり練習出来てなくてやばいんだよね…。クロは何するの?」
「俺んとこは劇。ちなみに裏方。」
「裏方か〜つまんない。」
部活やってっから免除、まあそうだよね、と軽いテンポで繰り広げられる会話が心地良い。
「…つーかお前ら一緒にまわんの?」
「ん?」
「だから、文化祭。研磨となまえは一緒にまわんのかって。」
「うーん、どうする?研磨」
「俺、あんまフラフラする気ないから、クロなまえと一緒にまわってあげてよ。」
え?と研磨を見ると素知らぬ顔で クロ裏方ならひまでしょ、と話を進める。
クロはわたしを見ると、お前研磨の他に友達いねーの?と少し哀れみを含んだ顔をする。
「い、いるよ!けどみんな忙しそうだから……。クロがよければ、一緒にまわりたいな。」
素直に伝えてみればクロは面食らったようなそぶりを見せたが、それは一瞬だった。
「じゃあ一緒にまわるか?」
「いいの?ありがとう!!」
にっこりとしてクロに感謝を伝えると、おう、と言いフイッと視線を晒される。
心なしかクロの耳が赤いような気がするが、夕日のせいだろうか。
深く追求せず、今度は研磨の方を向き、こっそりありがとうと言うと、よかったねと言ってくれた。
ミスコンで不安ばかりだったが、まさかクロと一緒にまわれることになるなんて、文化祭がすごく楽しみになった。
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