文化祭初日
わたしは今日クロとまわることになっていた。
ミスコンの出場者は初日のお昼に体育館でお披露目を行い、そこで初めて出場者が明かされる。
初日はそれ以外にやることはなく、2日目の午前中にミスコン出場者全員で校内を歩き回りアピールをし、午後にひとりひとり特技など自由に披露する時間が設けられている。それらを総合し、初日のお昼から2日目の一般公開終了1時間前までに生徒や来賓の方々に投票してもらいグランプリを決める。
そのままものすごい勢いで集計を終え、一般公開の終了直前に発表、という慌ただしいスケジュールだ。
今日は午後からアピールも兼ねてクラスの出し物担当になっていたので、クロとまわれるのは午前中だけとなる。
「どっからいく?」
「1年生のとこか、海さんのクラスがいいかな?2年はまだ準備中だよね。」
例年1年生は縁日などのバラエティ、2年生は飲食、3年生は演劇をやるのが恒例だ。
「そうだな、じゃあ1年とこ行くか。」
行く場所を決め、2人で1年の教室を目指す。
「あ!黒尾さん!なまえさん!チワース!」
勧誘をやっているのか、早速リエーフに遭遇した。
「よっ。ちゃんとやってるか?」
「やってますよ!よかったら来てください!」
「リエーフのクラスなんだっけ?」
「お化け屋敷っス!」
その言葉にクロはニヤっとして、せっかくだし入るか、と言ってくる。
「やった!アザース!案内しますね!!」
わたしがこたえる前に、クロの言葉を聞いたリエーフは嬉しそうな反応をした。
そんな後輩を前にわたしは断れず顔を痙攣らせてリエーフに着いて行く。
「わざとでしょ。」
「ん?なんのことー?」
わたしはおばけなどホラーが大の苦手だ。クロはわかってるはずなのにわざとらしくはぐらかす。
こうなったら仕方がない。
所詮高校の文化祭で行うお化け屋敷だ。すぐ終わる、大丈夫と覚悟を決めた。
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