まだ文化祭が始まったばかりだが、お化け屋敷は人気なようで列ができていた。

「ここで並んでて下さい!そんな待たないと思います!」

じゃあ俺は勧誘に戻ります、楽しんでってくださーい!と言い残すとリエーフは颯爽とさっき通って来た道を戻って行く。

「……なんか、悲鳴聞こえない?」
「気のせいダロ。」
「いや、気のせいじゃない!聞こえる!!」

リエーフの言う通り列はスムーズに進んで行くが、教室からは何回も悲鳴が聞こえてくる。

所詮高校の文化祭のお化け屋敷だから大丈夫だと自分に言い聞かせていたが、挫けそうになる。

「なーに?なまえチャンは怖いんですかぁ?」

おちょくるようなその声に、思わずムッとして言い返す。

「怖くないし。ヨユーだし。」
「へぇ。楽しみだね〜。」

ニヤニヤしているクロとそんなやりとりをしていると、ついに自分たちの番になる。
強がってはいるが実際できることなら入りたくない。

ふぅ、と溜息を吐き落ち着かせる。

「行くか。」
「……うん。」

よし!と気合を入れ足を踏み入れる直前、

怖かったらつかまっとけよ

とボソッというクロに怖さや緊張が少しだけ緩和した気がした。



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