お披露目会も終わり、教室に戻る。
「なまえちゃん宣伝ありがとう!おかげさまでお客さん増えたよ!!」
「よかった!わたしにできるのこれくらいだから。」
「じゃあさっそくだけど、これに着替えて!着替えたらなまえちゃん達の演奏始めよう!」
渡されたのは演奏用の衣装だ。
歌は明日のミスコンでやるから、クラスではギターやキーボードの演奏中心だ。
狭いスペースで行うため少人数でぐるぐる回していくスタイルになっている。
わたしは研磨とペアを組んでいる。
というのも研磨が歌が上手いことがクラスにバレ、嫌がる研磨を説得して無理やりペアを組まされたわけだが。
「……研磨、大丈夫?」
「ムリ。ほんと、ムリ。」
着替えて研磨に声をかけると顔面蒼白の研磨がいて、思わず心配してしまった。
しかし今更辞めるとは言えない状況だ。
顔隠してるんだから研磨だってわからないよ!なんて慰めなのか微妙な言い回しで宥める。
歌うかわりに顔が見えないようにしてほしい、というのが研磨がだした条件だった。
そのため私たちはサングラスをかけている。
「なまえまで顔隠す必要ないのに。」
「お揃いの方がなんかいいじゃん!」
にっと笑うと研磨の顔色が若干良くなった気がする。
「ちょっとだけだからさ。頑張ろ!」
「……うん。」
「じゃあ行こうか。」
前の演奏が終わり交代する。
交代した途端、ジャーンと音を出し、間髪入れずに始める。
少しでも早く終わらせて研磨を解放させるためだ。(気持ちばかりではあるが)
突然始まったギターの音に、研磨の綺麗な声が重なる。
教室に来てくれていたお客さん達が一斉にこちらを見る。
やっぱり研磨は歌が上手い!とわたしが得意げになり、どうだわたしの幼馴染はすごいだろ!と高揚する。
あっという間に終わり、ペコっと頭を下げると研磨はさっさとさけてしまう。
わたしは一応アピールもしなければならないのでその場に残り、サングラスを取り挨拶をする。
「みなさん、聴いてくださってありがとうございます!まだまだ楽しんでってください!」
深々とお辞儀をし、次のペアと変わる。
あ、あの子ミスコンの子だ!
ギター弾けるのすごい
歌ってたのは誰なんだろう
すごく上手だったね!
なんてお褒めの言葉が聞こえてきて、思わずにやけてしまう。
その後も何度か演奏をし、無事に文化祭1日目を終えた。
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