クラスメイト達による大盛り上がりの状態は放課後まで続いた。そんな中わたしは重い腰を上げる。

「…部活行きたくない。」

ぽつりと呟いたその言葉は研磨に届いていたようで。

「……はやく、クロの誤解解いた方がいいんじゃない?」
「それは、そうなんだけど」

正直なんて言えばいいのか分からない。湊先輩とはなんの関係もないと伝えても、クロにとっては興味ないことかもしれない。わざわざ言うこともない気がしてきた。

「クロは気にしてると思うけど」

……ほんと、この幼馴染の観察眼には敵わないなと思う。



うだうだ悩んでいるうちに部活が始まり、結局クロとその話しをすることはなかった。



部活後、制服に着替えみんなと帰ろうと部室に向かう。
ドアが開き、部員達が出てくると同時に声をかけられる。

「みょうじさん」

その声の主は湊先輩だった。

「よかったら一緒に帰らない?」


なんで部室前で声をかけるんだと失望していると、

「一緒に帰れば?」

と言い、クロはスタスタと歩いて行ってしまう。

そんなクロに部員達は戸惑い、研磨は ちょっと、クロ と言いながらわたしに視線を寄越す。
先行ってていいよ、と伝えると研磨は何か言いたげだったが他の部員に行こうと声をかけ、クロの後を追った。

「すみません、湊先輩とは帰れないです」
「でも1人でしょ?」
「帰る約束しているので、ごめんなさい。」

納得いかない顔をしている先輩を置いてその場を立ち去る。

もうみんなには追いつかないだろうな、と1人でとぼとぼ歩いていると なまえ と呼ばれる。

「研磨、待っててくれたの?」
「断ると思ってたから。」

ありがと、ん、と短いやり取りをし、2人で歩き始める。

「クロは?」
「帰った。」
「そっか。」


はやく仲直りして、なんて言うからケンカしてないよと言うと、研磨は眉間に皺を寄せなんとも言えない顔をした。



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