ひどく曖昧に、


ジストは相棒のジャック(リザードン)を枕代わりにすうすう寝息を立てている。
しかし、顔色があまり良くない。

「…風に当たりすぎたか?」

さっきまで外に出ていたとはいえ、貧弱すぎる、とクロエは思った。

「って…まって…やめて…とう、さ…」

「ジスト!!!」
「ク…ロエ!?あれ…夢かあ…よかったあ…」
「うなされてたぞ。悪夢でも見たのか…?」
『心配ね…あなたのパートナーっていつもこうなの?レイナ』
『グレ…』

レイナは顔を俯かせた。ブラッキーは優しくレイナに頬ずりをした。

「…母さんが生きていた頃、父さんは優しかった。
だけど、ボクが9歳の頃…ボクをバイオ団最強のトレーナーにすべく
あの手この手を使って訓練させた。
囚われていたボクはヒロシさんにより助けだされたけど、
時々夢に見るんだ。囚われていた頃のこの温厚と呼ばれる人格を隠すための
――――偽りの姿のボクを」


「…ボクも、罪を犯した。君の父親はボクと一緒だ」
「…そんな顔しないで。ボクにはオハウさんと過ごした安らぎの時間がある。
その頃出会ったレイナ。
ジャックとアオイは母さんが生きていた頃にパートナーになったけど、
みんなみんな大事な仲間なんだ。父さんだって、間違いに気づいて戻ってきてくれる。
扉を開けるものが居れば、その先にあるありふれたものが溢れないよう閉める者があたり前に居るように」

「…それが、キミ達双子の代名詞というわけか」
「人とポケモンの間違いを正すもの。ボクとオニキスは修繕者なんだから。
きっと、キミ達とアルの関係も修繕してみせる」

「修繕者…か」

クロエは少し羨ましそうに、アメジストを見た。



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