なみだを隠すように、


「今度はボクがクロエを助ける番だ。数年前、ヒロシさんがボクを救ってくれたように!」

・・・・・

「よく頑張ったね。ボクはヒロシ。君を助けに来たんだ」
「ヒロシ…、くん?」
「うん」

確か名前は―――――『アメジスト・・・』。

「とある人に頼まれてね。…来るのが遅くてゴメンよ。
 もっと早く気が付いていたら、この事件をもっと早く解決できていたのに。
 まさか、ボクより一回りも小さな女の子が、…こんなひどい事をされていたなんて」

「ボクのことを知っているの?」

「うん、とある人から聞いてね。その力が悪用されないように、ボクはしっかりと君を
 守り通す。何が、あってもね…。だからここからは、ボクが君を守ってあげる」
「ボクを、守ってくれるの…?」

何があっても君を守り通す。そう、誓った。


―――――

それが、ジストとヒロシの出会い。ジストは静かに瞳を閉じた。

「ジャック、『ブラストバーン』!!!…」

クロエの檻を溶かし、目を開いた時、それはいつもの温厚なジストの表情(カオ)じゃなかった。

「…お前は…誰だ!?」
クロエはいつものジストでは無いことを察した。それと同時に、クロエは歪な安心感を得た。

「オレもジストだ。バイオ団の頂点に君臨させるため植え付けられた、もう一つの、人格」

ジャック(リザードン)が覚えるはずもない技、『ときのほうこう』を連発し
クロエの手を掴んで進んでゆく。

「ボクも、ついに裏切ってしまったか」

何年も居座り続けてきた研究所を振り返り、再びジストと並んだクロエ。
ジストには感謝している。"ありがとう”と涙を隠すように、笑った。



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