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次にやってきたのは鼻を酷く損傷した女性だった。CTで全身を確認するということだったが、犬山がパソコンの前に座ると担当医の藍沢がみょうじと代われと有無も言わさぬ声色にビビりながら私と交代した。犬山さんごめんなさい。ともちろん内心で謝罪して。
CTをして分かったことは鼻以外損傷がないこと、どうやっても階段から落ちて鼻しか折らないというには無理がある話だった。

「これって…DVでしょうか」
「どうだろう…ちゃんと話を聞いてみないと分からないけど、うちら技師はその判断が出来ない。ここからは担当医である君たちが判断しなきゃいけない。」

犬山は白石にそう言ってみょうじが撮ったレントゲンを手渡した。白石はお礼を言った後レントゲンとにらめっこしたままCT室から出て行った。藍沢はそのあとを続いて出ていく。

「横田さん…大丈夫なんですかね」
「わからない。だけど、たとえDVや自分が望んでやってもらったとしても、傷つくことはよくないことだよ…」
「そう、ですね…」

少ししんみりした空気に耐えかねたのか犬山がパンっと膝をたたいた。どうしたのだろう?とそちらを見るとへにゃっと笑った犬山が「休憩室に行こう」と提案した。さぁ、行こーう。という感じに手を引っ張られ休憩室へ行くといろいろなお菓子と人数分のコップが用意されていた。

「本当は飲み屋とかでやりたかったんだけど、職業柄そうゆうのは難しいからね。」
「ほんじゃ、なまえちゃんの歓迎会と洒落こみますか」
「お酒じゃないのがホントに残念ね。なまえは何飲む?」
「あ、オレンジジュースお願いします。」
「おっし、皆コップは持ったか?では一言…犬山」
「は、はい!えーっと…本日は「かんぱーい」えぇ?!」
「かんぱ〜い」
「えっと、乾杯」
「うぅ…乾杯」

犬山の挨拶は葉山によって妨害され半泣きで乾杯の音頭に参加した。その後呼び出しが来るまでお菓子を食べたり雑談をしたりなどまったりと過ごしていった。