3-1

今日は稀にみる忙しさで、MRI室もCT室も早く見てくれと言わんばかりに患者の待ちが発生していた。ドクターヘリで運ばれた小倉さん、階段から転落した本山さんに卵巣のう腫茎捻転を発症した若杉さん…。最後の人を撮り終わった頃には体力切れを起こしていた。

「つ、疲れた…」
「お疲れ様、こんなに忙しいのは着任して初めてかしら?」
「はい〜…」

望月は全く疲れを感じさせない雰囲気があった。この後は資料をまとめなきゃ…と思いカチカチとこれまで撮った人のレントゲンを眺めているとある一人に目が留まった。望月はみょうじがある一人の画像を凝視している姿をみて何があったのかと様子を見た。

「本山さん…よね?知り合い?」
「いえ…ですがこの人…骨折だけじゃなさそうです。今すぐMRIを撮りましょう!」
「わかった。西条を呼んでくるからなまえは本山さんを連れてきて。」
「はい!」

CT室から飛び出し急いで本山さんのもとへ向かう。勢いよく扉を開けると「うるせーな!」と小倉の声が聞こえたがそんなことを気にしている暇はない。本山さんを見つけ駆け寄った。

「本山さん、今からMRI撮るので移動しますね。いいですか?」
「え…?」

本山さんに繋がっていた点滴などを移動用に変えているとそばにいたのか藍沢と白石がやってきた。

「みょうじ、これは?」
「さっきCTを撮ったとき前頭葉に影があったの。詳しく調べるために今からMRIを撮ることになって」
「わかった、手伝うよ。」

ありがとうと言って本山さんをMRI室へ運んだ。部屋にはすでに望月さんと西城さんがスタンバイしていた。本山さんに中に入ってもらいさっそく撮影を始めた。
撮り終わり加工も終わったところでレントゲンを見ると前頭葉に腫瘍があることが分かった。

「これは同意書が必要になってくるね…」
「でも、見つかってよかったです。」
「今回もお手柄ね」

望月に褒められてありがとうございますと照れ笑いをするといつも通りというべきか望月に頭を撫でられた。