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スモーキーがマイティウォーリアーズに斬られたとカイリお姉ちゃんから連絡が来た。
一命はとりとめたもののララお姉ちゃんがダウトに捕まってしまい、スモーキーが無理をするかもしれないとのことで監視役に任命された。

「と、いうことで監視役できました。」
「…別にどこも行かねぇよ」
「でしょうね、スモーキーさんはそんな無茶する人に見えません。」
「じゃぁ帰っていいぞ」
「それは出来ません!」
「……。」
「帰り道わからなくて…」

えへへ、と小声で笑うと起き上がっていたスモーキーが深いため息をついてベッドに倒れこんだ。何も言わなくなったスモーキーに対してどうすればいいかわからず、とりあえずお見舞い用にカイリお姉ちゃんと買ってきた食品や飲み物を勝手に使っていいと言われた冷蔵庫にしまい込んだ。途中でルードボーイズの人たちに渡されたスモーキーの着替えを棚の上に置き、ベッド脇の丸椅子に座ってスモーキーの様子をうかがった。

「お腹減ってますか?」
「減っててない」
「減ったら言ってくださいね。簡単なもの作るんで。」
「わかった」

ぱちぱちと外で燃えている木の音が聞こえるくらい静かになってしまった。良樹くんやカイリお姉ちゃんから連絡が来ていないか確認するが新規メッセージはありませんの文字が虚しく表示された。皆大丈夫だろうか、不安な気持ちがどんどんと溜まってくる。

「…隙あり!」
「あぁ?!」

不安な気持ちを振り払うために空いてたスモーキーの手を握った。ほんの少し冷たい指先、ごつごつした男性らしい手をぎゅっと握った。

「…どうした」
「安心しません?病気になったとき、ケガした時。誰かにぎゅって手を握ってもらうの」
「確かにそうかもな。マコも村山に握ってもらったのか?」
「良樹くんは握ってくれるほど近くに居なかったです。にこお姉ちゃんが握ってくれました。」
「マコの姉か?」
「いえ、3つだったか年上のお姉さんです。私が入院したときに知り合った人で、すごく励ましてくれた人なんです。」

そうか、とスモーキーは言うと振り払うことなく私の手を握り返してくれた。上半身だけベッドに体を預けているとスモーキーがぽつりぽつりと話出した。

「…ダウトにララが攫われた、なのに俺は…」
「ララお姉ちゃんはスモーキーさんにとって大切な人だもんね。」

自分でそう言って胸が軋むような痛みが襲う。好きな人にはもう大切な人がいる、自分が諦めなきゃいけない。そうは思っていてもやっぱり諦めきれない。好きになった人を簡単になんて諦めたくない。

「あいつは、俺の大切な妹だからな」

…妹…?がばっと起き上がるとスモーキーがびっくりしたのか少しだけびくっとした。いろいろと考えを巡らせているとたどり着いた結果はスモーキーのことを諦めなくていいということ。嬉しさとここで喜んではいけないと葛藤して耐えきれなくなってまたベッドに倒れこんだ。

「…おい、大丈夫か?」
「なんれもないれす」


もごもごと返事をした後ゆっくりと立ち上がり台所へ向かった。三食分で買ってきた食材を全て使い料理を作り始める。少し火元を離れていいタイミングで使われていないベッドを端に寄せてテーブルとクロス代わりに布を掛ける。これで少しくらいは見栄えもよくなるだろう。

「…俺はこんなに食えないぞ。」
「スモーキーさんの食事でもありますけど、ララお姉ちゃんの分と今戦ってる人たちの分です。安心したらお腹が減ると思って。」
「そうか。」

ふっと笑った後にスモーキーは目を閉じた。料理を作り終わったところでスモーキーは規則的な寝息を立てて眠っていた。
起こさないように手を握り椅子に座る。

「もし、スモーキーさんに何か悲しいことがあったら私が手を握ります。だから、私に何かあったら手を繋いでください…。」

いっきに沢山の料理を作って疲れたのか、すぐに睡魔に襲われた。

「…何かが無くても俺の手を握ってろ、絶対守ってやるからな。」

スモーキーの言葉は眠ってしまったマコには届かなかったがほんの少しだけ握る力が強くなった。




フラグ立とこじれ直しの為だけの小説