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今日はSWORDの定例会があるとのことで良樹くんに連れられて来たわけだけれど、中に入るにはちょっと狭いということで苺美瑠狂さんたちと一緒に待つことになった。
苺美瑠狂さんたちと話すことといえば恋バナしかないけれど、皆の恋愛事情を知ることが出来てとっても楽しいし、高校は女子がいないこともありこの手の話は全くない。

「で、また合コンしようと思っててな。順子さんも誘いたいんだけどよ、頭張ってるとかいうと男がビビって帰っちまうんだよな」
「また順子さん抜きで行きますか?」
「お姉ちゃんたちいい人が見つかるといいね。」

なんだとーコノヤローとじゃれあっているとじゃりっと誰かが立ち止まった音がした。
誰だろう?と振り返ると体に激痛が走った。私は激痛に耐えきれずその場に倒れこんだ。「誰かに早く伝えろ!」「おい、マコ!しっかりしろ」お姉ちゃんたちの焦った声が耳に届く。
激痛に蝕まれながら誰がやったのか確認をすると、そこにいたのは…

「バグ、スター…」

―――
――


「大変です!」

壊れる勢いで扉を開け皆が入ってきた明日香を見る。うるせぇなという人もいればだるそうに突っ伏してる人もいる。

「マコが、倒れて…」
「は、なんだよそれ。あいつ風邪でも引いてたのか?」
「な、なにが起こったのかよくわかんねぇんだよ!すっごく苦しそうにしてるし…あ、あとバグなんとかとかも」

バグという言葉が出た瞬間カイリが椅子を蹴飛ばして立ち上がった。カイリには珍しく動揺した顔をしている。

「それって…バグスターのこと…?」
「たしか、そう言ってったっす」

カイリは確認をするや否やITOKANを飛び出しマコに駆け寄った。貴利矢に連絡をするも留守電につながるだけで反応はない。急いでCRに連絡をする。

「マコ!大丈夫!?」
「カイリ、おねえちゃ…」
『はい、こちら電脳救命センター』
「永夢、マコがバグスターに襲われたの。急いで来てくれる?今場所を送るわ。」
『マコちゃんが…すぐ行きます!』

乱暴に切られた携帯から耳を離しCRからここまでのルートを永夢に送る。やることはすべてした、あとはマコをどこか休める場所に…

「マコちゃんは大丈夫!?」
「ナオミ…」
「奥に寝れる場所作ったからそこに運んで。」
「ありがとう」

マコをおんぶしてITOKANのなかに戻る。皆何かを言いたげにしているがまずはマコを寝かせないといけない。ナオミが用意しておいてくれた布団に寝かし体温を測る。

「体温が高い…マコ、ちょっと目を開けて」

マコはカイリの言葉に従い目を開ける。まだ目は赤く発光していない。初期段階の症状とはいえなんのゲーム病にかかったのかわからない今は安心しきれない。

「ナオミ、悪いけどマコの面倒みててくれる?」
「いいけど、これって風邪なの?」
「風邪じゃないわ。ゲーム病っていう厄介な病気なの」

ちょっと皆に説明してくるといい。カイリはその場を後にした。皆が集まっているところに座り直し、さて…何から話そうかと考えていると。村山が口を開いた。

「マコをあんな風にしたのはそのバグスターとかってやつなのか?」
「十中八九そうね。」
「そいつをぶっ飛ばせばいいのか?」
「無理よ。私たちじゃバグスターを倒すことはできない」
「じゃあどうしたらいいんだ」

スモーキーがそういうと転がりこむように誰かが入ってきた。いててと言いつつ起き上がりあれ?という感じでキョロキョロしたあとカイリを見つけて駆け出した。

「マコちゃんは!」
「奥で寝かしてるわ。早く見てあげて」
「マコちゃん!」
「おい、にこ!」

永夢が入ってきたかと思えば雪崩のようににこと花家が入ってきたこんな時まで仲良しなことで…
マコの横で夫婦喧嘩をする二人を避けてきた永夢が原因が分かったので行ってきますと言いITOKANを後にした。
それを見届けたあと、コブラは立ち上がり一つため息をついた後、

「今日は定例会終わりな。じゃ、解散。」
「なんでおめぇが仕切ってんだよ。」
「なんでもいいじゃねぇか。」

スモーキーは椅子から立ち上がるとマコのもとへ向かった。苦しそうに肩で息をするマコを見つめすぐそばに腰を下ろした。

「マコ、大丈夫か。」
「…くるし、い…」

そう答えたマコは今にも泣きそうで何か力になりたいが何もできない自分にやるせなさが積もるばっかり。スモーキーの顔が暗くなっていくのがマコには悲しくて力を振り絞ってスモーキーの手に自分の手を重ねる。

「まだ、みんなと…遊びたい…」
「…。」
「まだ、消えたくない…な」
「治ったら、どこか連れてってやるよ」

スモーキーの言葉にヘラっと笑うとスモーキーがマコの手を握った。

「だから、心配すんな」
「なんで、あんただけマコちゃんと約束してんの!マコちゃん、治ったらまたおいしいもの食べに行こ!いいところ見つけたから、絶対気に入るとこ!」
「あり、がとう…にこお姉ちゃん…」
「だらしねぇ顔」

上から声が降ってきたと思えばほほを思いっきりつねられた。少しだけ心配そうにする良樹くんがそこにはいた。

「明日学校休むなよ」
「なんれ?」
「……おめぇがいねえと皆が心配するからに決まってんだろ」

良樹くんがデコピンをするポーズを取ると目をぎゅっとつぶる。いつまでたっても痛みが来ないのでちらっと目を開けると「ばーか」と言われて軽く頭を撫でられた

『もしもしカイリさん。バグスター無事倒しました。』
「お疲れさま」
『マコちゃんにも伝えたほうが…』
「私から伝えておくわ。今とっても幸せそうだから」

―――
――


ダ「お、おいテッツ。今のみたか?」
テ「あいつ、変身したぜ(パシャ」
ダ「なんや…めっちゃかっけえな」
テ「え?」
ダ「え?」





フラグ回収。すごくわかりにくいフラグだったけど…
あと設定変わっちゃったのでかなりIFの世界