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真夜中にも関わらず湾岸地区ではネオン色の光にバイクの騒音。
とある男から依頼と称してここに来いと言われて来たものの喧嘩に巻き込まれるとは聞いていない。ましてや相方であるシキは時間になってもやってこないし…。

「SWORDとマイティウォーリアーズの抗争…ね。」

コンテナの上からにらみ合ってるところを眺めていると、こちらに気付いたのか依頼主であるICEがにやりと笑った。現状を理解してない笑みほど馬鹿丸出しはいないと思う。

「かわいそーだけどこれが運命なんだよね〜。まぁやったのはシキだけど…。」
「降りて来いよ。そのために依頼したんだからな。」

ICEの声に全員の視線が集まる。面倒ごとを押し付けて…後でシキには何かおごってもらおう。例えば高級中華料理とか…。
考え事をしているとなんの反応も示さない私にイラついたのか、横にいたセイラが舌打ちをした。
いい加減話さないとだよなぁ…。

「あー、ICEだっけ?いいから後ろ振り返ってみなよ。」

訳が分からないという顔を浮かべたICEが振り向くとチームの半分以上がミイラのようにカラカラに乾燥した遺体があった。
助けてと言っているように伸ばされた手はどこにも届かず虚しく固まっている。

「おい、どうゆうことだよ…」
「私がやったわけじゃないからね。相方がブチ切れてやっただけだから。」
「なんで止めなかったのさ。」
「なんで?お門違いも甚だしい。私たちは君たちの依頼は受けてないよ。」
「SWORDを倒すって依頼しただろう!前金で払った金はどうした!」
「あぁ、これ?返すよ」

茶封筒に入った大金をポイっと投げ落とし封が開いてたせいか地面に落ちると同時に少しだけ中身が飛び出した。

「あ、ごめんね。あと、相方から伝言。『子供の喧嘩に巻き込むんじゃねぇよ。殺すぞ』だってさ。」
「てめぇ…ぶっ殺すぞ…」
「かわいい脅しだね。でも目の前の人たちが先に君たちを倒すんじゃない?だって君たち数で勝とうとするお子様だもんね」

クスクスと笑うと堪忍袋の緒が切れたのかICEが大きく雄たけびを上げるとこちらをギロリと睨んできた。さて、これ以上おしゃべりしていても時間の無駄だし帰ろうかな。

「じゃぁお暇するね。何か縁があったら会おうね〜」
「おい、待て!」

セイラの声を無視し隠してあったバイクに飛び乗る。そして思い出したかのようにもう一言だけ。

「女の子たち解放しといたから。」

そう告げ、今度こそまたがったバイクを走り出す。何か叫ぶような声が聞こえるが聞こえなかったふりをする。SWORDとは抗争する気があるようでSWORDが走っていく後ろ姿が見える。




マイティウォーリアーズにブチ切れたから勢いで書いた小説