エビデンスを追求



流れる時の中で、現在が過去に戻ることは決してない。人間はこの認識にとらわれながら生きている。さらに言えば、この認識が人間をとらえてくれなければ、人間は人間たる「錯覚の意識」を失ってしまうだろう。あぁ私が言いたいのはこんなことではないんだ。……そうだな、私の中の認識を、私の道標を見失いたくないのだ。分かるかい?まぁ、きみは私より遥かに賢く聡明であるから、きっと……きみはこの錯覚に気づいていたんだろう。でも、どうだろうか。今となってはもう、誰にもそれを知ることは……理解し尽くすことはできないのだろうな。……ああ。嘘だと言ってくれればいいのに。そうしてくれれば、きみが、そう言ってくれれば。それだけで私は、楽になれるのに。



2017/03/08
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