相反する道



同じ方を向いて歩いているんだと思っていた。
お前と2人でならどこまでも行けるだろう、と、根拠のない確信を持っていた。もはや手遅れだ。お前は俺とは全く反対の方を向いて、俺が歩いている道とは違う道を迷いなく進んでいる。
手遅れだ。何もかも。
最近までお前は瞳を彷徨わせて「私たち、どこへ向かっているの」と不安げに体をすくめながら、それでも懸命に俺の腕にくっついたのに。どこまで歩くの、と俺の瞳を覗き込んで手を握りしめるお前。ほんの最近まで、俺に縋るしかできなかったくせに。いつまでも、いつまでも、俺に縋るだけの弱くて幼いお前のままでいてくれれば良かったのに。
俺は、ずっと先の方を歩いているお前を見た。足がすくんでうまく歩けない。
全く、いつから俺たちは、進むべき道を違えてしまったのか。
今度は俺が縋る番のようだ。
俺は足を踏み出した。



2017/03/09
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