コードネームは


「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」


まさかの発表形式に驚きを隠せない。変な名前付けられないじゃないかと思っていたら、青山くんが自信満々で出てきた。ちょっと参考にさせてもらおうかな。


「行くよ……。輝きヒーロー、“I can not stop twinkling.”(キラキラが止められないよ☆)」


ちょっとまさかの感じにある意味度肝を抜かれてしまった。まさか英文で来るとは……。ミッドナイト先生も真面目に添削している。これは、この感じは……。


「じゃあ次アタシね!エイリアンクイーン!!」


続いた三奈ちゃんもネタに走ってしまったせいでなんともいえない空気が教室をしめる。この中でちょっとズレたの出しちゃったらネタだと思われてしまう!!

フリップに向かっていた手がどうしても止まってしまう。だって、私が考えてるコードネームは実質安直すぎるものだ。考えられなかったから連想ゲームみたいになってしまった。


「じゃあ次私いいかしら。」


次に出てきたのは梅雨ちゃんだった。ちょっとだけほっとした。梅雨ちゃんならそんなへんてこりんなのは出してこないだろうから。


「小学生の時から決めてたの。フロッピー。」


「カワイイ!!親しみやすくていいわ!」


ほら、やっぱり。梅雨ちゃんのおかげでネタっぽい空気が無くなった。そうとなれば、この安直なコードネームもありかもしれない。

急いでフリップに書いていれば、出てきたのは切島くん。剛健ヒーロー烈怒頼雄斗か……。いわれなきゃ読めなかった気もするけど、読めるってことは知ってくれてるってことに繋がるのかな。

昔世の男の子たちを夢中にさせたと噂の紅頼雄斗をリスペクトしてるらしい。私は紅のことはよくわからないけど、漢気って言葉は切島くんにぴったりだと思う。


「じゃあ次……私いいですか。」


前々から決めてた人たちが終わり、流れが止まってしまった。ちょうどフリップも書き終わったし、挙手して前に出る。

みんなの視線が集中して少しだけ緊張してしまうが、教卓にフリップを出した。


「ラインハリス、いいじゃない!個性とかけたのね。素敵よ!」


みんなもうんうんと頷いていて嬉しくなってフリップを抱きしめながら席へと戻った。それから少しするとみんなも考え終わったのか続々とコードネームが決まっていく。

三奈ちゃんも考えを改めてピンキーというかわいいコードネームになっていた。轟くんはというと、ショート。轟くんの名前だ。もし今後これがヒーロー名になったら轟くんのことはショートと呼ばなければならないのかと思うとちょっぴり恥ずかしかった。

そして出てきた爆豪くん。フリップには爆殺王。ヒーローが殺してどうする。


「そういうのはやめた方がいいわね。」


今まで基本的には褒めてくれるしかしなかったミッドナイト先生もトーンが低くなって制止している。

続いてお茶子ちゃんも決まって残っているのは緑谷くんと爆豪くん、それと飯田くんだった。飯田くんが残ってるのは予想外だったが、真面目な分いろいろと考えてしまうのだろうか。

そんなことを考えていたら飯田くんが出てきた。そのフリップには天哉の文字。飯田くんも名前なのか。てっきりお兄さんのインゲニウムを模してくるかと思ったんだけど。

次に出てきたのは緑谷くん。これまた衝撃だ。そこに書かれていたのはデク。爆豪くんがよく呼んでいるそれは、木偶の坊とかのデクだと思ってたんだけど、それでいいんだろうか。

あらゆる方向から心配の声があがったけど、緑谷くん自身がデクという呼び名をそういう風にはもう思っていないみたいで、自信に溢れた顔だった。

自分の名前に自身をもつこと。これが結局のところ一番大事なのかもしれない。

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