必要なのは共闘


「苗字!なんかいい案あんのか!でもアイツ硬すぎて電気通らねぇぜ!?」


「上鳴くんと私、とくにロボ相手なら最強だと思うの!大丈夫、任せて!」


進みあぐねている他のクラスの人たちを置いて、二人で駆け出す。それを見たほかのA組たちも一斉に駆け出した。


「こいつら、攻撃力はピカイチだけど、動きは鈍い。そしてロボは基本的に間接部分が一番弱い。そこに私がどんどん水まいていくから、上鳴くんはそこに放電してほしいの。」


ロボ・インフェルノに突っ込みながら簡単に説明していく。電気が通らないなら、電気が通るようにしてしまえばいいのだ。

こちらに向かってくるロボの間接に向かって、水蒸気を凝縮させる。一瞬にしてびしょびしょになった間接めがけて上鳴くんが触れて放電を行う。

予想通りショートしたロボはバランスを崩して倒れていく。


「うおお!すっげぇ!」


「このままいっちゃうよ、上鳴くん!」


「おう!」


二人で立ちはだかるロボ・インフェルノを次々と攻略していく。他のクラスメイトがどうやって攻略しているのかを確認する暇はなかった。少しでも早く先頭集団に追いつかなければいけないのだ。

必死になって走っていれば、ロボ・インフェルノの集団は突破できた。しかし、思った以上にタンクの水を使ってしまったので、急いで周囲の人の汗を蒸発させてタンクにためていく。いつものチューブがないから、効率が悪い。


「苗字!助かったぜ!」


「こっちこそ助かったよ!水かけるだけじゃショートさせられないから!」


『オイオイ第一関門チョロイってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーール!!』


次に向かって走っているときには既に放送が入っていた。すなわち先頭はもうそこにいるということ。勢いをつけて更に駆けていく。


「……上鳴くん、協力はここまで!ありがとね!」


ザ・フォールとはすごい名前だと思ったけど、その穴はなかなかの深さだった。

ここでは私の個性はまったく役にたたない。なら悩む暇もなく綱渡りだ。だっと綱の上を走り抜けていく。バランスを崩しそうになったら、手から水を噴出させて落ちないようコントロールする。

先頭はと顔を上げれば、轟くんが一位だったが、すぐ後ろの勝己がいた。スロースターター勝己はようやく十分すぎるくらいの汗をかいたのだろう。

それにしても、空を飛べるってやっぱりうらやましい。私も飛べるように練習しようかな。


『さあ先頭は難なくイチ抜けしてんぞ!』


進むしかない。次の綱も同様に渡って行く。後ろでもどんどん綱を渡っていく声が聞こえてくる。タンクの水、補充しておいてほんとに良かった。

先頭はもう抜けたらしい。マイク先生の実況がその差を突きつけてくる。個性が強いのはもちろんだけど、その扱いにこれほどまで差が出るとは思わなかった。


『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねぇから安心せずに突き進め!』


最後のロープに足をかけたところで放送が入った。先頭は轟くんと勝己。周囲には人が結構いる。ちょうどダンゴの先頭なんだろう。


『そして早くも最終関門!!かくしてその実態は一面地雷原!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!目と脚酷使しろ!』

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