有無を言わさぬチーム決め


「ようやく終了ね。それじゃあ結果をご覧なさい!予選通過は上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!!」


映し出された順位を確認する。勝己は3位だったのか。私はといえば、19位だ。予定より、はるかに下にいる。それだけみんなが強かったということだ。

油断しているつもりはなかったが、見誤っていた。気合を入れなおして続けて発表される第二種目に注目する。


「騎馬戦……。」


表示された文字は騎馬戦。ミッドナイト先生とクラスメイトたちの説明を聞いて、瞬時に作戦をたてていく。誰と組むのがいいのか、さっぱりだ。


「1位に与えられるPは、1000万!!!」


組む人とのポイントも気にしなければと思っていた矢先の出久に与えられたポイント。みんなの視線が出久に集中する。それは、組みたいという好意的なものではなく、誰と組もうとそれさえ取れば勝てるという敵意にも似たそれだった。

そうとなれば、組む人とのポイントなんてあまり気にしなくていい。それさえ取れればいいのだから。


「“個性”発動アリの残虐ファイト!でもあくまで騎馬戦!悪質な崩し目的での攻撃などはレッドカード!一発退場とします!」


勝己ならやりかねないと思ったが、ちゃんと禁止されていた。私と出久は崩し目的でされかねない。


「それじゃ、これより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」


ピシャンッと鞭が鳴らされてそれが合図となり各々が固まり始める。私は誰と組むのがいいだろう。やっぱり上鳴くんかな。


「おい、名前。組むぞ。」


少し離れたところにいたはずの勝己が傍にいる。上鳴くんがどこにいるのか結局見つけられなかった。


「え、勝己も私も攻撃メインだしサポートなんて出来る気しないんだけど。」


「いいから組め。半分野郎対策だ。」


有無を言わさずずるずると引っ張られてしまった。凍らされる前に手でも封じろってことなんだろうか。


「俺と組め!!」


「えー爆豪私と組も!?」


残りのメンバーを探す前に勝己は囲まれてしまった。さすが、3位で200Pは持ってるし、個性の汎用性も高い。となればこの人気も頷ける。


「てめェらの個性知らねぇ。何だ!?」


「ちょっと勝己マジで言ってるの?砂藤くんはパワー系。芦戸さんは酸でなんでも溶かせるんだっけ?瀬呂くんはテープだったよね!」


勝己のびっくり発言に一人ひとり説明する。それを咀嚼してメンバーを決める勝己。というか、轟くん対策なら芦戸さんとかの方がいいんじゃないだろうか。


「轟の奴ソッコーチーム決めやがったぜ!爆豪!!俺と組もう!!」


轟くんに誘いにいったけどフられたらしい切島くんが更に増えた。切島くんとはUSJで一緒に戦ってるしさすがに個性覚えてるよね?


「クソ髪」


「切島だよ覚えろ!!」


名前くらい覚えてあげてほしかった。というか、勝己クラスの名前私と出久以外ちゃんと覚えてるんだろうか。


「おめェどうせ騎手やるだろ!?そんならおめェの爆発に耐えられる前騎馬は誰だ!?」


「………………根性ある奴。」


「なるほど!切島くんが硬化して勝己の爆破に耐えてれば騎馬の損傷も考えずに勝己が個性を使いまくれるってことか!」


「そう!そうすりゃ取れるだろ、緑谷!」


切島くんの作戦に勝己がにやりと悪人面を浮かべた。というか、これ間違いなく私も騎馬に今決まった……?


「じゃああと一人は……このチームの騎馬に足りない機動力を補える瀬呂くんがいいんじゃないかな。」


「んじゃ、それで。」


「興味なさすぎねぇ!?嬉しいけど!!」


瀬呂くんが複雑な表情で突っ込んでる。でもこれで、チームが決まった。この4人で出久に挑戦する……!

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