良い眠りを
「腕枕とかしたら折れちゃいそう」
そういったのは確かに私だ。リドルの細さに思わず言ってしまっただけ。だけどそれでプツンと来てしまった未来の帝王様()。
必要の部屋にいつの間にかあらわれていたのは大きなベッド。
「さあ、寝ろ」
リドルはそういって、腕枕をしながら私に圧力をかけてくる。ああ、面倒なことになった。
腕枕っていうのは正直寝にくいと思う。細いし、固いし…。それでも頭を下ろそうとすればきっと飛んでくるのは緑の光。あー面倒くさい。
「リドルー謝るからさあ」
「別に僕は怒ってないさ」
どこがだ。
なんて口に出せるほど私は猛者じゃない。はあ、とつきそうになるため息を飲み込んで。私は目を閉じる。
まあ閉じたところで眠れるわけはなくて、私は考えごとに意識を移す。
自惚れじゃなく、リドルに腕枕をさせるのなんて私ぐらいだよなあ。なんて優越感。まずふつうの女の子はリドルに腕枕なんて求めないだろうし。みんなからしたらリドルは王子様なわけで。王子様に腕枕とか。かぼちゃパンツのリドル君。笑える。
「おい。寝ろ」
「…うへーい」
小さく笑って震えてしまったのがばれたらしい。気の抜ける返事を返して、頑張って寝ようと思う。
何も考えずにいれば、意識は段々黒に沈んでいく。完全に黒く染まる直前、「おやすみ」と聞こえた気がした。
良い眠りを
(、おはよ)
(…ああ、)
(やっぱり痺れてるでしょ)
(っ触るなっ!)