世界を私好みにそめて
ヴァリアーの暴君、XANXUS。彼の性格は言うまでもない。圧倒的な強さと、圧倒的なカリスマ性。彼だからこそ、個性的なヴァリアーの面々を統率できているのだろう。
まあ、そうはいってもヴァリアーにかかる膨大な費用は彼によるものが多いわけだが。
「XANXUSさん、この資料判子もらえますか」
ノックした後にその無言に可の意をくみ取って(無言で不可のこともある。部下がそれで何人死んだか…)、要件を口にしながら中に入る。お世辞にも行儀のよくないその座り方で、パラパラと書類を見ていくXANXUS。
「さっさと消えろ」
必要な箇所にバン、と判子を押して私に書類を投げ渡してくる。折れないように受け取る。
「そういえば、XANXUSさん。今日の夕飯は何がいいですか?私作らなくちゃいけなくて」
シェフの料理がXANXUSの口に合わなかったらしく、殺されそうになったところを幹部で保護(三ツ星シェフだった)。即日解雇したため、現在は新米幹部である私と料理上手なルッスーリアで新シェフを拉致るまでの間の料理を担当している。
「肉」
返ってきた言葉にやはりか、と思いつつ頭の中のレシピを流し見る。一週間の食事を思い出せば、よしとレシピを決める。
「牛丼で」
私の言葉にゴオっとXANXUSの手が光る。
「いい加減、野菜食べましょうよ」
「かっ消す」
彼から逃げるように部屋から飛び出せば、扉が吹き飛んだ。
「う゛ぉ゛ぉい!!またかぁ!」
「スクアーロさん、XANXUSさんくるんで避けたほうがいいですよ」
その言葉の瞬間、炎が私の居たところを焼き尽くす。あーあ高そうな絨毯が焼けてしまった。
「お前なにしたぁ!」
「牛丼にしよっていいました」
またか、と頭をかかえるスクアーロさんに判子を貰った書類を出して手渡す。
「これ許可もらいましたんで」
「あ゛ぁ?」
「任務いってきまーす」
窓に足をかけて、飛び降りればスクアーロさんの怒声が響き渡る。逃げるが勝ちだ。
ヴァリアー本部の修繕費が上がったのは、もしかしたら私の所為かもしれない。
悪役に徹せよ
彼が暗殺部隊にいる理由は、ボスの座に君臨するため。