侵入者


胸がざわつく嫌な音。
初めて聞くその放送に耳を傾けると、
構内に侵入者が入ってきた。という内容だった。

『っ…侵入者?』

「ヒーローの学校に侵入かよ」

状況把握の為に周りを見渡す。

『ねぇ、爆豪』

「あれのことか?」

そう、窓の外に目をやると
今朝正門にいた報道陣たちが校舎内にあふれでていた。

『ここのセキュリティ大丈夫なの?』

「さぁな」

呆れ顔の私たち
ここは一階、マイクやカメラを持って群がる人たちが構内の二人に気がついて近づいてくる。

「君たち何年生?オールマイトは本当に教師をしているんですか?」

まばゆいフラッシュ。

「テメェら勝手にひとのこと撮ってんじゃねぇー!」
Booom!!

早速キレた爆豪を後目に、私はにっこりと笑って報道陣のいる窓をあけた。

「ちょっ!お前なにやってん…」

『お兄さんたち』

そういって、近くにいた報道陣2、3人の肩や手などをポンッと叩く。

『名字とあそぶ?』

妖艶に、にっこり笑うと同時に
窓枠に座りいやらしく足を組む。

「「すきだー!!」」

いまにも名字に飛びかからんばかりの彼らの唇にシーッと自分の指をあててひとこと。

『あの人たち、構内から追い出してくれたら何でもしてあげる』

そういって、ウィンクしてやれば
ギランっと鼻息を荒くして騒ぐ報道陣の群れに向かって突進して行った。

「お前らー!!構内から出ろー!!」

「迷惑だろー!」

そんな光景を眺めてクククッと笑う。
窓枠から飛び降り、ピシャンと鍵をしめた。

「お前、女の武器使いすぎだろ。引くわ」

『個性は最大限に使わないとね』

しばらくすると構内から、報道陣の姿は消えていて
相澤先生からの呼び出しは、先の騒動により無しになったので
爆豪と二人教室に戻る。

「そういやお前の個性ってどうやったらとけんだ?」

さっきの男どもの事が気になったのか、
爆豪が聞いてきた。

『私から一定以上離れるか、私が対象相手に対して弱気になると溶ける』

(だからあんな女王さまみたいな態度だったのか)

ひとり納得する爆豪。

教室に戻るとなぜか、
“非常口飯田”で盛り上がっていて
学級委員も飯田くんに変わっていた。

なんだこの楽しそうな雰囲気!!
仲間外れ感が半端ない!!!


私もしょぼん、と席についた。