乱れる管狐
もし、玉兎 遥や麗姫 散がアカデミアを裏切っていなければ、美しかったやよいの故郷は守られたのだろうか。
儀式次元の今は破壊され尽くした第五の島、ラティム。
やよいの生まれ故郷にして、玉兎遥によって破壊された“犠牲”の島。
「……だが、もし違っていたらViceに入ることはなかった」
「そのViceは一体何なんだ?」
「ユー、トか」
「…やよい、教えてくれ。お前はアカデミアでないのなら何なんだ?」
「ワタシはViceだ。アカデミアにかつては所属していた組織で、我が愛鳳様が統べている」
「……愛鳳様?」
「ワタシを荒廃した故郷から救い出してくださった方だ。だが、愛鳳様は麗姫 散によって実体を失った…」
やよいの言葉にユートは言葉を失う。
「まさか、亡くなったのか…?」
「いや、精霊体になっただけだったが…ワタシ以外のViceのメンバーは見えない…」
やよいはうつむく。
Viceのメンバーが愛鳳を見えるようになるためにやよいはラティム島から持ち出した秘宝を使うことにした。
月華石という青い石は愛鳳を実体化したが、彼女はアカデミアに囚われ、どこにいるか知れない。
「…アカデミアは、ワタシの敵なんだ」
「俺たちと同じと言うことか…」
「お前達が瑠璃を探しているようにワタシも愛鳳様を探している」
やよいは和装をきつく握りしめて、涙をこぼした。
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