SMOKER


目星はつけておいて入念に下調べをしたサユキ。

恥を忍んでヒナさんに相談すると、サユキの孤独の深さに衝撃を受けるも大人の付き合いらしく言葉を選ぶ。


「ならボディーガードが必要ね」


と呼び出したスモーカーくんにバトンタッチして、


「とんだ役回りだ」


軽口を叩くけど、二人きりになった瞬間


「おい、ふざけるなよ。冗談じゃねェ」


サユキは誠実な付き合いがトラウマだから、お金で割り切れる後腐れのない関係に惹かれる。

“少将”に声さえそっくりなら、後は目を閉じてしまえば同じ。

そう思って一定の安全が保証される高級店を選んだものの、当のスモーカーは頭で理解すればするほど生々しい光景が浮かんで、眉間の皺が彼史上最大。


「あの手の店は、どれだけ真っ当な面して飾り立てていようが本質は同じだ」

「お前みてェな救いを求める馬鹿な奴を喰い物にしてやがる。ロクなもんじゃねェ」

「馬鹿な奴……ですか」

「ああ、馬鹿だ。大馬鹿野郎だ」


私って馬鹿だったんだ、と憑き物が落ちた様に目から鱗のサユキ。
ぱちぱち瞬きして居ると、手を差し伸べてくれる。

軽々しく重ねて良いものか躊躇うと、掴んでさっさと歩き出すのがスモーカーの良い所。

相手の様子を見つつ、自分のペースに乗せるのが上手い。


「そんな奴にここまで気付かれなかったおれもおれだがな」

「似た者同士、おれにしとけ」


つまり、そういう事。


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