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ここの所、爆豪と一緒に居るとじーっと見られてる事が多い、……様な気がする。今みたいに俺が何か絵を描いてる時は特に。
ただ、視線はめちゃくちゃ感じるんだけど、パッと爆豪を見たら大体逸らされてるから確証は無い。
今もビシビシ感じてるけどこれは多分、また見たら逸らされるパターンだと思う。いやでもさぁ気になるから……!
「…あ。」
バッとスケブから顔を上げたらばっちり目が合ってしまった。なん、いや、これはこれで気まずいんですけど……!
「……なんでしょうか、爆豪さん…」
「や、べつに」
思わず敬語になってしまった。ふいっと目を逸らして素っ気無い回答をした爆豪は、パックジュースを飲みながら携帯を弄り始めた。
「べつにってさぁ……。最近なんかめっちゃ俺の事見てね?なに?俺なんかした?悪ぃ事したなら謝るんだけど」
耐え切れずに聞いてしまった。だって流石にずっと見られてたら気になる。
「ちげぇわ。……目見てるだけだ気にすんな」
「え、目?俺の?」
ずず、とジュースを飲み干してパックを潰しながら言う爆豪にきょとんとしてしまう。そんでも。
「なんで?」
個性使ってる時のあれか?っても別に今更珍しくもないだろって思うの俺だけ?
絵描いてる時に大体視線感じてたのは目見てたからかと納得はしたけど、疑問は残ってる。
「るっせぇな放っとけ」
「気になるから我慢出来なくなって聞いてんだろうが……!!」
つうか俺の事だろ放っとけねぇっつうの!不機嫌そうな爆豪見てたら俺が不機嫌になりそう。何で怒ってんだよ。
「キラッキラさせやがって気になって見ちまうんだよクソが!気にすんじゃねぇよ!」
「あぁ!?意味わかんねぇよキレんな!そっちが気にすんなよって話だろそれ!?」
心底意味分からん理由で爆豪が久々にキレた。俺のせいかこれ!?ちがくね!?つかキラキラってなんだよ!?
「っせぇてめぇがキレさしてんだろうが!気にすんな!以上!終わりだボケ!」
「ッ〜〜〜〜!」
強制的に終わらせられて、なんかもう何言っていいか分からん。腹立つ。いやでもまだ文句は言い足りないから言うわ。
「俺より爆豪のがキラキラしてるっつーの!戦闘訓練の時とか良い顔してるしかっけぇしさぁ」
ぶすっとしながら言えば眉間の皺が濃くなった。でも俺は知ってるぞその顔はちょっと照れてる時だろ。意趣返しだ照れろばかめ。
「っせぇしね!!」
「むりーしなねぇー」
照れてる爆豪はなんか可愛いから腹立ってるのは忘れてやるぜ。
もはや絵を描く集中力が無くなってしまったからスケブをそっと閉じて、爆豪と居る時間最近増えたなーとかしみじみ考えてみる。
昼休みは大体校舎裏に来てる気がする。暫く沈黙が流れた後、爆豪がぽつりと話し始めた。
「おい、あいつ……前からあんなか」
「あいつ?誰」
「てめぇとよく一緒に居るクソモブ」
突然変わった話題に首を傾げる。その辺の人モブとか言うの辞めた方が良いと思うわっていうかそれ、もしかして佐野か?……にしても、他人を気にすんの珍しいな。
「え、佐野?前からあんなってどういう事だよ。何、喋ったん?」
「まぁ。でどうなんだよ、あのきめぇの前からか」
何をどう話したのか分からないからまったくもって答えようがない。うぇー、って困った顔をしてたら舌打ちされた。
「はぁ?わっかんねぇけどあいつ別に昔から特に変わってねぇよ、つかきめぇって何話したんだよ」
「言わねぇ」
「そこまで言ったなら言えよ!」
話してくれる気は無いのかそれに返事は無かった。こいつほんっとたまに謎過ぎる。
(厄介なのに好かれやがってクソアホが)
不満だって態度を隠さずにペンで遊んでたら軽くチョップされた。なんか、ほんとなんなのこいつ。
「何でもいいけど俺の友達だからいじめんなよ」
「はっ、友達ね」
馬鹿にする様に笑ったけど、分かってんのかね。意味なく弱い者いじめする奴じゃないとは思ってっけど。
「てめぇに何も無けりゃなんもしねぇわ」
そう吐き捨てた爆豪の表情は、いまいち何を考えてるのか分からなかった。
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