周期的な夢を見ている
私は少し前から、不思議な夢をみている。
その夢は週に1回、決まって金曜日の夜にみるのだ。
そして、そこにはいつも1人の男性が出てくる。
私には見覚えのない、金髪の男性…
そんな彼は夢の中で、私に何かを伝えようとしてくる。
でもその声は私には届いてこなくて…
実を言うと、彼が金髪という容姿の持ち主だと気付いたのもごく最近である。
最初は本当にぼや〜っと、人の形をしているなぁくらいにしかわからなかったのだけれど、何週かその夢を見ていると次第に形がはっきりしてきて、ついに彼の姿を捉えることができた。
金髪で、褐色肌で、綺麗な碧い瞳をしていて、すらっと伸びた手足。少し幼さを覚える顔立ちだがかっこいいという印象。更に素敵な笑顔をこちらに向けている。
彼は一体誰なのか…
最初はそんな好奇心だったと思う。
だが、正体もわからない彼に次第に惹かれている自分がいた。
たった週に1回、夢の中で会うだけなのに。
会いたい…
夢の中だけじゃもう足りないくらいに、私は彼のことを好きになってしまっていた。
***
今日は土曜日。夢の彼を気にしすぎているせいか、最近まともに休めていなかったし、今日はちょっと遠出してみようと思いたつ。
しかし一人で歩きながら、やはり夢の中の彼について考えてしまう。
ちなみに今回の夢の収穫は大きかった。ついに彼の名前を知ることができたのだ。
"あむろとおる"
確かにそう言っているのが聞こえた。
とおるさん、かぁ…素敵な名前だなぁ…なんて思っていると、目の前にポアロという喫茶店が。
初めてみる喫茶店だなぁ…と思って眺めていると、1人の店員さんらしき人が出てきた。
…え?
一瞬、時が止まったような感覚に陥る。
だって、ばっちり目の合った男性は…
「初めまして、安室透です。…いや、初めましてじゃないですよね、なまえさん?」
あぁ、やっと逢えたんだ…
「なまえさんと恋に落ちに来ました」
それは夢の終わりと恋の始まり。
2017/05/06 rewrite
さこさん企画 第3回 #DC夢題
『周期的な夢を見ている』より
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