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ついに、ヨルに念を教えた。
まぁぶっちゃければこいつはただの一般人だ。最初はいきなり開けたからか、過呼吸を起こしていた。
それでも、俺の呼吸に合わせていくうちに正常を取り戻していったから、そこそこにセンスはあったのだろう。
落ち着いてきたところで、念の基本の四大行を教える。とは言ってもいきなり言われてもわからないだろうそれを、自分なりに頭の中で処理をしているのがわかる。やはり、こいつは賢い人間だ。
明日から修行だ。今はとりあえず寝とけというと、すぐにその場で倒れこんでしまったヨルを部屋まで運んだ。
あいつの部屋の棚にはたくさんのファイリングされた資料がある。そのファイリングされた資料にはうっすらと、ヨルのオーラが残っていて。
今からこいつがどんな能力をつくっていくのか、楽しみになっていった。
それから、三週間ほどかけてヨルに練と絶を教えた。絶は案外すぐにできた#nane2#だったが、練がむしろ手こずったヨル。
それでもきちんと出せるようになったヨルに、ついに水見式をすることに。
おそらく特質系だろうとは思うが、内心楽しんでいる俺。
それを感じ取っているのだろう、ヨルはじとりと俺をにらんできた。
「まず、念には六つの系統がある。強化系、変化系、具現化系、操作系、放出系、そして特質系。
自分のオーラがどの系統に属しているのか、それがわからないと自分の能力は作れない。なんとなくはわかるな?」
体育座りしながら、立って説明する俺をみてこくりとうなずくヨル。
「んで、今からお前がやるのは、水見式っつー、系統を知るのに一番有名な方法だ」
水をたくさんいれ、その上に葉っぱを浮かばせたコップを目の前にだす。例えばとして、俺が見本をみせた。
「強化系なら水が増えたり、変化系なら水の味がかわったり。それぞれにわかりやすいように変化を見せてくれるんだ」
そういって、俺はそのコップに手をかざして練をする。
とたんにコップの中に浮かんでいた葉っぱが枯れ始める。
「これは?」
「特質系だ」
「特質系?」
「具現化系なら不純物がでてきたり、操作系なら葉っぱが動き、放出系は水の色がかわる。そのどれにも当てはまらなかったら、特質系だ」
「なるほど」
「やってみろ」
枯れてしまった葉っぱをとりだし、新しい葉っぱを浮かばせる。
やっていいぞと目で訴えれば、ヨルがコップに手をかざし、練をした。
「…!!」
最初の頃よりはきちんとした練になっている。
変化はどうだ、とコップをみると、あまり変化はみられない。
「えっと…?」
不安そうにこちらをみるヨルに、
「さわってみろ」
と助言すれば、触った瞬間にヨルの目が見開いた。
「冷たいです。あと、なんとなくシャーベット的な感じです」
「なるほどな、凍るってことか」
やはり、こいつも特質系だったようだ。
にやりと笑い、ヨルにそう告げれば、ヨルは少し目をぱちくりさせた後すぐに笑顔で、
「よかった」
と、そう言った。
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