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あのヨルという子の話を聴き終えた後、俺とクロロは二人で店を出た。

エールの一番弟子だというヨルは、特質系だったみたいで今、発を作ろうとしてるところらしい。
情報系の能力を作ろうとしていると言っていたヨル。エールもパソコンの中に手を突っ込んで情報を引き出すというあいつらしい大胆な能力だし、きっと使えるものになるはずだろう。

少し口元が上がるのがわかった。







「あれ、今日もいらっしゃったんですね」
「まぁね」

次の日、また俺はあの店に行ってみた。
店の扉を開いて中に入ってみると、ヨルはまたもや大量の本をその手のひらに積み重ねていた。

「そんなに本をたくさん積み重ねてて大変じゃない?」
「まぁ...でもこれが私の仕事ですから」

ヨルは一つ一つ本を棚に入れていく。その動作を後ろから見ていく。
こうやってみると、本当に普通の女の子だ。背は160ぐらいか、少し小さめ。髪は黒で肩までの長さだ。あまり見たことのない種類の顔だし、もしかしたらノブナガと同じジャポン系統の人間なのかもしれない。

「念の方はどう?」

ヨルの後ろにある棚に背中を預けながら話しかける。

「まずまずといったところですかね」
「作り始めた?」
「今制約と誓約?の方を考えているところです」
「あーまぁ特質だもんね」

一つ一つ本のタイトルを読んで、確認していくヨル。
そういえば、といって振り返ったヨルに俺は、ん?と言葉を発する。

「エールさんに用があるんじゃなかったんでしたっけ?」

ヨルの言葉に、俺はあぁと言う。

「うん、そうだよ」
「じゃあ呼びます?」
「お願いしてもいい?」
「わかりました」

ヨルは本を一旦端に置くと階段の下に小走りで行った。今の所、全くもって興味惹かれるところは見当たらない。

まぁ確かに、あまり俺の顔色とか伺わないし、ベタベタと近寄ってもこないし、挙げ句の果てに異世界の人間だし。最後の項目だけでクロロは多分興味を持ってるんだろうけれど。

「エールさーーん!!」

なんだか拍子抜けだ。
ヨルが俺に興味がないように、俺もヨルに興味はないし、今日ぐらいでこの偵察もやめにするかな、と思っていた時、ヨルに声をかけられた。


「ん?」
「あの...お名前、なんでしたっけ?」

そう問いかけてきたヨルに、俺は思わず目を見開いた。
なるほど、とことんこの子は俺に興味がないらしい。少しイラっとした気持ちに蓋をして、俺はニコリと笑みを浮かべて「シャルナークだよ」と答えてやった。

むかつく。

なんとかして俺に惚れさせてやる必要があるみたいだ。



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