ね、隊長?
騒がしさと若干の寒さから目を覚ますと今日も朝礼中でした。
今朝も斉藤が連れてきてくれたらしい。
局長の話は朧気にしか聞こえないが、また攘夷志士の活動が活発化してきているとの事だった。
日は昇っているとはいえ、まだ朝の7時。寒さに身をよじって斉藤に擦り寄れば、名字の上に被せてある斉藤の上着を上に上げて暖めようとしてくれた。
ポンポンと背中を優しく叩かれる。
名字はふへへっと笑いまた微睡みへ落ちていった。
「何してんだオメェはァアア!!!」
スパーン。前回よりも大きな音が響く。
名字は痛みのあまり涙目で土方を睨む。
クソ土方め…。寝起きの掠れた声で小さくこぼした。
「クソ土方って何だ!!!……ったくテメェは朝弱すぎんだろ、面接の時だって迷ったにしろ9時開始なのに着いたのが3時だったじゃねェか。」
「ウッ、確かに起きたら、じゅ、…11時でしたけど…。」
「開始時間大幅に過ぎてんじゃねェか!!…まぁ、過去の事を言っても仕方ねェ。だがな昨日早起きするって言って寝たのは何時だ?」
「は、8時!」
「6時に起きたとしても、10時間寝れば充分だろうが!!!」
「まぁまぁトシ、いいじゃないか本人も反省してるみたいだし。」
「してねェからこうして寝坊してんだろ?!」
土方は怒り心頭とばかりに白目をむいて怒鳴り散らしていた。
さながら不動明王像に似ている。
「でも!でも、隊長が連れてきてくださいますよ!ね、隊長?」
いきなり話が自分に振られたことにオロオロとする斉藤に、名字はクイクイっと胸元の服を少し引っ張る。
名字は眉を下げて困った様に笑っていた。
[私でよろしければ。]
強請るような視線を無下には出来なかった。
斉藤は観念したようノートを出して見せた。
「オイ!終!!甘やかしてんじゃねェぞ!!」
「ありがとうございます!」
そのまま斉藤を抱きしめた。
驚いた斉藤は落ちない様に腰に回していた手を離し、浮いたその手を所在なさげにワタワタとさせていた。
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