※7話の閑話
※上鳴視点で短短短文





ヒーロー科志望で入学を果たしたが、やはり青春は謳歌したい年頃。
おまけにクラスの女子はレベルが高い。寧ろハイレベル。中学の時とは比べ物にならないのは大前提だ。
その中でも一際俺の興味を惹かれる対象と言えば……。



「やっぱ八百万の乳はいいよな」
「俺は断然邪神だな!」
「邪神?って…顔は美人だけど胸はないじゃん」



峰田は鼻で笑う動作をするが、俺は負けじと反論をする。



「ばっか、美人ってのはそれだけでいいんだよ。美術品なんだよ。あの気品溢れる感じがよ、なんつぅーか大人びた感じがいいって話だよ」
「確かに邪神は大人っぽいよな。この前隣り通ったらいい匂いした」
「切島もか。でもわかるわ。邪神って仕草とか上品だよな。なんつーか、礼儀正しい」
「それそれ!歩き方とかモデルみたいだよな」
「実際に体型もスレンダーだし」
「身長高いけど、邪神のために背伸ばすわ!くらい思うわ」
「上鳴は単純だな」



熱弁していたら切島が笑いながらそう言った。お前もさっきまでうっとりした顔で言ってたからな。自分はちげえとか格好悪いことしてんじゃねえぞ。少しは瀬呂を見習えよ。普通の男子高校生だぞ。
教室で話していると切島が爆豪を見つけ、声をかけた。



「あ、爆豪!お前はどう思う?」
「あ゛あ?何がだよ」
「女子について!」
「くだんねぇことで呼び止めてんじゃねえよ」



やっぱりクソを下水で煮込んだような性格な奴は話が通じない。社交性がないっていうのは人間社会に置いて致命的欠点だっての。
だが、はじめからこうなることは読んでいたけどな。



「爆豪がそんな話にくいつくわけないだろ。クソを下水で煮込んだ男だぞ」
「性格だろ」
「おい!てめえの語彙力どうなってんだよ!あ゛あ!!」
「まあまあ、落ち着けよ。じゃあほら、邪神のことは?」
「!……」



更なる暴言を吐かれるのかと思えば、爆豪は邪神の名を聞いた途端。大人しくなった。これは意外な反応に、俺も切島も互いに顔を合わせた。



「え…なんだよ。その反応……もしかして爆豪、お前……邪神がタイプなん?」
「ッ……!ちげえわ、クソがっ!!ただあいつがあの女に似てるからつい目で追ってるだけだっつぅーの!!勘違いしてんじゃねーぞ端役共っ!!」



そう捨て台詞のように来た道を戻って行った。
なんなんだ、あいつは……。
背中を見送っていると緑谷がすれ違いざまに入ってきたので声をかける切島。お前っていい奴だよな。



「どうしたの?何かかっちゃんが怒ってたけど」
「ああ、なんかあいつの地雷踏んだっぽい」
「へっ?!そ、そうなんだ……」
「なあ、緑谷ってクラスの女子ってたら?」
「え、麗日さん?」
「……おい、緑谷。お前が本気で憎たらしく思えたぞ」
「へっ?!な、なんで?」
「お前は毎日邪神から声をかけて貰える唯一の男だろうが。構って貰えて超絶羨ましいです!」
「上鳴くん、凄い迫力だよ……」
「気にすんな緑谷。発作だから」
「それはそれで気になるっていうか」



緑谷の中で邪神は麗日の次だと!二番手をあんな美人にするとは、お前は個性と共に恐れ入るな!まったくよ!
あんな美人を、美人美人……と呟いていたらいつの間にかまた切島が別の奴に声をかけて呼んでいた。片目を開けて確認すれば、そいつは今、俺の羨望を一心に背負う男。轟焦凍だった(こいつは席が隣りなんだよ、クソ羨ましいわ)。



「轟はそういや入学当初から邪神の事追いかけまわしてるよな」
「別にそういうつもりねえけど」
「じゃあ何であんな質問攻めしてんの?しかもずっと観てるよな」
「……そうなのか?」
「無自覚なんだね…轟くん」
「いや天然だろ」



思わず俺もツッコんでしまった。顔がイケメン様はお断り案件だ。



「お前も邪神に好意印象を持っているとか」
「……初対面で好きも嫌いもあるか」
「無自覚で言ってるのか、本気で言ってるのかわかんねえわ」



切島がそう言いながら顔を覗き込む。轟は「もういいだろ」と自席へ戻ってしまう。
何だか可笑しな連中ばかりがいるところだ。別に賛同して欲しいわけじゃないが、俺はとにもかくにも邪神とはお近づきになりたいのは本音。
美人の友人は居れば居るだけいいってもんなんだよ。俺の目標第一歩ってね。
そんな邪な願いが叶う日は、すぐそこまで迫っていた。
突然の席替え、突然の運命、そして神は……俺を見放さなかった!!! もう今度神社行ったらお賽銭増やしてやんよ!神様!仏様!轟様!!



「今は俺……轟に感謝してる。ありがとう轟様!!」
「お前切り替えはやいな」
「これで心置きなく邪神を口説いて飯に誘うわ!」
「目標低いな」


切島の冷めた眼差しを受けつつも、そんなことどうでもいいかのように俺は有頂天の極みだった。
そんな溢れるばかりの歓喜を体言する俺を見た緑谷が、呟くように唸っていた。



「上鳴君凄いな……禄さんのあんな憔悴しきった顔みたことないよ」





To be continued..........



私は上鳴くんが個人的に好きです。
説明すると…デクくんは主を生徒として観ていないための回答。
かっちゃんは、混乱。
轟くんは、ただの興味対象。
そして後半、切島くんがいっぱい喋っていた。
私は……上鳴くんが好きです。うぇいうぇい。


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