※ワープで飛ばされたあのシーン
※轟視点で短短短文
土砂ゾーンに飛ばされた俺は即座に個性を発動させ周囲を囲う敵連合とか命名している輩の行動を制限させた。凍らせている以上そこから抜けだす事は困難、まあ脚がいらねえってんならやってもいいがな。そんな狂ってる奴は大抵存在していない。
「散らして殺す…か。言っちゃ悪いがあんたらどう見ても{”個性”を持て余した輩}には見受けられねぇよ」
「こいつ…!!移動してきたとたんに…」
「本当にガキかよ…いっててて…」
周囲を警戒しながら歩みを進める。ふと脳裏によぎったのはあの首謀者と思われる人物の行動と発言。
あいつは一体何がしたいのか、オールマイトを殺す…。
初見じゃ精鋭を揃え数で圧倒するのかと思ったがフタを開けてみりゃ。生徒用(おれたち)のコマ…。チンピラの寄せ集めじゃねぇか。
見た限りじゃ本当に危なそうな人間は4〜5人程だった…とすると。やっぱあいつの狙いってそれだけじゃねえって事だよな。
「 なんだ…そこに居たんだ……みつけたよ、赤ずきんちゃん……! 」
あの顔面覆ってる奴が確かに邪神を捉えながら言っていた。それはつまり……あいつは敵と。
そこまで思考が巡る中奇襲をしかけてきた敵の動きを察知し靴底を鳴らし前方から迫りくる敵を氷で制圧後、後ろから武器で攻撃をしかけた輩を避けた武器に触れて凍結させた。
――考えていても埒はあかねえか。
前方からしかけた敵に向き直り、そいつに声をかけた。
「なあこのままじゃあんたらじわじわと身体が壊死してくわけなんだが。俺もヒーロー志望そんな酷え事はなるべく避けたい」
覚悟もこうなることも見込みの甘い奴の顔面に右手を翳す。個性の発動から溢れ出る冷気に怯える様を眺めた。
―――俺が次にとるべき行動は………
「あのオールマイトを殺れるっつぅ根拠…策って何だ?」
そいつはよく回る口で話し始める。首謀者の魂胆、そのシンプルな内容。
「本当にそれだけか?」
「ほっ本当だ!だからッ……」
「女については関与してねえんだな」
「お、んな?って……黒霧さんが連れ戻せって言ってる女のことか、ですかッ」
「連れ戻せ……?」
「あ、ああ…見つけ次第連れて来いって」
「おい!それ以上はッ!」
「以上はなんだよ」
「ヒィッ!」
後ろで地面に転がる奴に向き直り一歩と近づき見降ろしていると軽口の敵が口を開いた。
「し、死柄木さんは女を殺すって!」
「!ころす……?」
「あの女は敵の間では有名な【赤ずきん】で死柄木さんの昔の女だとか」
それってつまり―――ゴクリ、と喉が鳴る。何だこの情報は、俺が訊きたいことが大幅に路線がずれているにも関わらずこの情報は訊かなければならない気がした。
邪神はDivaじゃないのか――――?
「暫くそこで凍ってろ」
そいつらを背に俺は走り出した。焦躁感に襲われる。急げと心臓が高鳴る。
―――邪神を殺す?オールマイトを殺す?どちらが正しい情報なんだ。
そもそも何故邪神は【赤ずきん】という敵のネームで呼ばれている?単に容姿が似ているとかではないのか?
―――首謀者は邪神のなんだ。昔の女ってなんだ。あいつは何処か浮いている。それが関係しているのか?
13号はあの時、ワープゲートじゃねえ方に狙いを定めた。対峙していた邪神に向けたその牙は一体どうしてだ?
右手に視線を落とし、握ったり開いたりを繰り返した。
あの時、ワープゲートは邪神を確実に狙っていた。それを認識した瞬間無意識に手を伸ばしていた。
―――だが、俺の指先は宙を掴むだけで実際邪神を抱き寄せ助けたのは爆豪だ。
個性を使用してでもあいつを助けたってことがわかる。あの距離じゃ無理もない。そうすることでしか助けられない。
あいつは助けたかったということだ邪神を――――。
「チッ、んだよ」
何で、無性に腹が立つんだよ。自分で助けたかったとでも思ってるのか?馬鹿らしい。
今は切り替えろ。まずは向うべき場所がある。
右手を握り直し、俺は広場へと向かった。
あの日の歪な笑顔が俺の脳裏を占めていたとしても………。
To be continued..........
アンケートにご参加ありがとうございます。かっちゃん抜いての1位でしたので、轟くんで。
まだ彼は気がついていないのです……その気持ちが如何様な種類のものなのか……ヘヘ
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