ああ、やっぱり夢か。夢だったか。

 目を覚まして落胆するのはキツいなぁ。

 今日も外は晴天。雀の鳴き声が耳に突き刺さってくる。

 携帯電話が振動した。メールを確認すると、康太からだった。

 ――いい加減空気読め。って、酷いなぁ。

 夢の中の康太はすごく優しいし、僕を愛してくれるのに。

 こっちが夢ならいいのになぁ。いや、そう思って日々を過ごせば、この胸の痛みだって少しはましになるかもしれない。

 学校に行く支度を終え家を出る。そこには康太の姿も、鳥井さんの姿もなかった。

 切なくて、胸が、締め付けられて涙が出てくる。

 男を好きになった僕がいけないんだ。

 しょんぼりと歩いているうちに、教室へ着いた。

 自分の机に近づくと、そこには彼方が腰を下ろしていた。

「ちょっと。僕、座りたいんだけど?」

「あ、わりぃ。すぐに退くから」

 なんて、悪いとは思っていないような、やれやれって風な態度を取りながら彼方は、友人らと場所を移してゆく。

 ――どうして夢の中で僕は、彼方と友達なのだろうか。現実はこうだ。いつだって僕は、一人。康太だけが親しくしてくれるというのに、彼女ができたら邪魔扱いされて……。

 席に座る。窓の外を見る。雲が綺麗に流れてゆくので、もやもやした気持ちもそれに乗せた。



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